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◆実例1 古河電気工業株式会社  
「世界初のダメージレス・セルソーターの開発」 (医学・薬学)

ヒトの生細胞、特にES 細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞(誘導多能性幹細胞)の研究において、目的の生細胞を良質な状態で取得するセルソーター(細胞分離機)が求められている。

医科学研究所 附属ヒト疾患モデル研究センターの中内 啓光教授は、最先端の再生医療研究を精力的に進めており、新しいセルソーターの開発を進めていた古河電気工業(株)と共同研究を行ってきた。本共同研究において、ヒトの生細胞、幹細胞へのダメージが最小限に抑えられることを実証し、世界初のダメージレス・セルソーターの製品化に成功した。本装置は、取扱いが容易な独自の光ファイバー型フローセルを用いているので、世界の医療機関、研究室での利用が拡大すると期待されている。


◆実例2  株式会社ネクスト21  
「カスタムメイド型人工骨の開発」 (医学・薬学)

ヒト、動物の骨格は生命維持、生活の質の保持に重要な役割を果たしているが、骨形成不全、骨部分欠損の患者での骨移植手術では、自家骨採取時の侵襲、他家骨使用時の感染症リスクや患部への形状適合性、骨吸収置換性、機械的強度などで課題も多く、新しい人工骨の開発が望まれている。

大学院医学系研究科 高戸 毅教授、大学院農学生命科学系研究科 佐々木 伸雄教授、大学院工学系研究科 鄭 雄一教授は、最先端の骨・軟骨再生医療の研究を精力的に進めてきたが、カスタムメイドの人工骨技術を開発している医療技術ベンチャー企業、株式会社ネクスト21と共同研究を行っている。この技術は、患部のX線CT画像に基づいた三次元CADで正確な形状設計を行った後、人体に馴染み易い人工骨材料(α型リン酸3Ca)をインクジェット方式の三次元積層法で造形するもので、細胞や血管の侵入に適した微細構造も設計出来ることが特長である。2006年から医学部附属病院にて臨床試験を実施し、結果は順調であった。更に、全国の10施設における臨床試験を計画中で、実用化に向けて進展している。


◆実例3 株式会社キラルジェン  
「非天然型核酸医薬のデザインと合成法の開発」 (医学・薬学)

近年、ヒトや各種生物のゲノムとその機能が解明され、アンチセンス法やRNA干渉法によって不都合な遺伝子発現を抑制する特異性の高い核酸医薬が注目されている。しかし、天然型の核酸オリゴマーを医薬品とするには、化学的安定性、ヌクレアーゼ耐性や細胞膜透過性などに大きな課題が残されている。この課題解決に向けて、大学院新領域創生科学研究科の和田 猛准教授は、核酸のリン原子に結合する酸素原子を硫黄、又はホウ素に置換し、かつリン原子の絶対立体配置を制御した核酸オリゴマーを効率よく生成する画期的な化学合成法を開発した。更に、この修飾核酸のヌクレアーゼ耐性や、生体内での有効性を確認中である。

一方、核酸医薬の開発を進めている(株)キラルジェンは、和田准教授との共同研究によって本技術を発展させ、リン原子修飾核酸に関する新規合成法の実用化を進めている。


◆実例4 オーダーメイド創薬株式会社  
「二次元形状の操作手法及び手書きによる三次元モデリング技術の電子カルテへの応用」 (情報・通信)

患者の診療データを電子的に保存・活用する電子カルテが徐々に普及し始めている。電子カルテの入力インターフェースの中でも、手書きによる入力は、使用者のコンピュータへの習熟度に依存せず、迅速で自由な入力が可能な点で、他の入力インターフェースよりも優れている。そのためにコンピュータグラフィクス技術による手書きよる入力インターフェースがあるが表現力、操作性に課題があった。

大学院情報理工学系研究科 五十嵐健夫准教授が開発した「Rigid」は、“つかむ”という直感的な行為で二次元形状を自由に回転・移動・変形することが可能な技術である。また開発した「Teddy」は、紙と鉛筆をつかってスケッチするのと変わらない手間で、自由に三次元モデルを生成することを可能にしている。いずれの技術も、専門的な知識や複雑な入力インターフェースを必要とすることなく、コンピュータグラフィクスをコントロールすることを実現した技術である。

今回、本技術がオーダーメイド創薬株式会社にライセンスされ、同社の電子カルテ製品の技術と融合する取り組みを進めている。


◆実例5 株式会社デンソー  
「インフラ協調運転支援システム評価のためのミクロ交通流シミュレータの開発」 (情報・通信)

交通渋滞緩和や交通事故の低減を目指して、情報通信技術を活用した高度道路交通システムITSに関係する研究開発である。無線通信によって他の車両や障害物の情報を取得し、それを運転者に提供することによって事故の発生を防ぐ技術を特徴としている。安いコストで安全に、多くの車両が関係する多様な状況での運転支援アルゴリズムを評価するためのシミュレータ構築が狙いである。

本共同研究では、大学院工学系研究科 吉村研究室で開発してきた知的マルチエージェント交通流シミュレータMATES(Multi-Agent based Traffic and Environment Simulator)に、路側機、車載器、事故発生モデル等のインフラ協調システムの評価に必要な機能を組み込み、インフラ協調システムの評価を行うためのプロトタイプ・シミュレータを構築した。


◆実例6 ビットラン株式会社  
「紫外反射光を利用した有害化学物質検出装置の開発」 (農林水産・食品)

食の安全を保証する為には様々な分析が必要であるが、有害化学物質の検出は重要な要素技術の1つである。現在、化学物質の精密分析には煩雑な処理と高額な機器が必要であるので、出荷・流通現場においては迅速かつ簡便な非破壊検出装置の開発が希望されている。

大学院農学生命科学研究科の牧野義雄准教授は、青果物等のポストハーベストテクノロジーの研究、特に残留農薬の非破壊検出に関する研究を行なって来た。食品表面の紫外線吸収率を計測することで有害化学物質の検出が可能であることを見い出し、紫外領域検出カメラなどを開発しているビットラン株式会社と共同研究を進めることになった。

有害化学物質の多くを占める有機化合物が紫外線を強く吸収することを利用して食品表面の有害化学物質の有無を簡易・迅速に判定する光学装置を開発し、最終的には商品出荷ラインなどの現場での非破壊的検査システムに組み込むことを目指している。


◆実例7  栃木県那珂川町『町里山温泉トラフグ研究会』  
「温泉水でのトラフグ養殖の開発」 (農林水産・食品)

大学院農学生命科学研究科 金子豊二教授は海産魚類の生理学、特に耐塩性メカニズムを研究し、海産魚が低塩分環境でも養殖できる可能性を見い出した。その応用として、低塩濃度環境におけるトラフグの養殖例を示し、陸上での養殖を提唱していた。

一方、山間地で温泉水を利用してトラフグ養殖するという発想は、同研究会の「地域活性化」への思いと「塩分を含んだ温泉水」の活用というニーズが結び付いたもの。しかし、ビジネスとして成功するためには製造コストの削減や味品質などの商品価値の向上という課題解決が必須である。金子教授の研究室の指導を受けて、海水で養殖したトラフグと同じように美味な商品開発を目指している。


◆実例8 東京電力株式会社  
「浮体式の洋上風力発電の開発」 (環境・エネルギー)

風力エネルギーの活用は、CO2排出量削減や脱化石燃料社会を目指す一つの手段として期待されている。我国は様々の条件から陸上における風力発電の立地は限られてしまうが、洋上には風力発電に恵まれた場所が多く存在し、資源量も膨大である。しかしながら、我が国周辺の海域の大半は沖合に出ると急激に深くなるため、豊富な洋上風力エネルギーの活用にあたっては、比較的浅い海域に適用する着底式に加え、浮体式の洋上風車の開発が必要となる。

東京電力と大学院新領域創成科学研究科 鈴木英之教授を含めた共同研究チームは洋上における風の実測データを用いた風況評価、模型による実験などを通じて、波や風に対する安全性と安定性の高いフロートの構造・材料・メンテナンス方法等について検討し、技術的・経済的な実現性について評価した。今後プロトタイプによる実証試験へ向けた研究を進めている。


◆実例9 木下電機(個人企業)  
「電動アシストトレーラの開発」 (環境・エネルギー)

自動車は、輸送や個人での利用などにおいて、交通手段の中心的役割を担っている。近年では、CO2排出量の削減などの環境志向が高まり、小型車の需要が伸びているが、小型車では積載量に限界があり、課題となっている。

大学院工学系研究科 草加浩平教授は、トレーラに電動モータを付加し、小型車では不足する駆動力や制動力をアシストすると共に、制動時の動的エネルギー回生と定速走行時の発電により充電を不要とした電動アシストトレーラを富山県の木下電機と共同開発している。電動アシストトレーラは、十分な加速と登坂性能を保証するだけでなく、車両システム全体としてみればハイブリッド自動車とみなせることからも分かるように、消費エネルギーを低減することが可能になると同時に、アシスト力制御により、走行安定性の向上も達成できる。

現在、模型及び実験機による各種確認試験と解析を実施しており、エネルギー消費の少ない、安心して運転できるシステムの完成が近付いている。


◆実例10 京都電子工業株式会社  
「EMSシステムによる粘弾性の非接触・非破壊リアルタイム測定法の開発」 (機械)

近年、液体やゲル、液晶、生体物質などのソフト材料が様々な工業分野で活用されているが、これらの材料を実際に利用して物作りに活かすためには、素材の輸送・攪拌・霧化・塗布・微小液滴射出といった液体に独特のプロセスを経由することになるが、この工程で最も重要な物性量が粘性である。

生産技術研究所 酒井啓司教授は、レーザー光の放射圧を利用した粘弾性の非接触・非破壊リアルタイム測定法を開発した。この成果を利用して、京都電子工業蠅蓮△錣困数百マイクロリットル(1ccの1/5程度)の試料で、かつ本体や部品をまったく汚すことなく液体の粘性をリアルタイムで測定する「EMS(Electro-Magnetically Spinning)粘度計」を共同で開発した。この全く新しい測定原理に基づく本システムは、微小量測定、非接触などの多くの利点を持つため、医用、石油化学関連、食品加工、化粧品などの様々な分野での利用が期待されている。


◆実例11 株式会社ヤマダ精機  
「複雑な立体模型を三次元データからつくり出す技術の応用」 (機械)

数学的な条件で定まる曲面、例えば、多項式で定義される代数曲面、曲率が一定の曲面などについて、これらの三次元データから、実際に精度の高い立体模型をつくることは、一般には困難である。

大学院数理科学研究科の河野俊丈教授は、螢筌泪誓叉,閥ζ韻如△海里茲Δ平学的な曲面のデータを工学で用いられるデータに変換し、アルミニウムなどの素材による高精度の立体模型をつくり出す技術を確立した。このような技術によりさまざまな数学的な要請から理論上定まる曲面の形状を立体模型としてつくり出すことが可能になり、数学の研究、教育を支援するのみならず多方面への応用が期待されている。


◆実例12 パナソニック株式会社  
「抵抗変化型次世代不揮発メモリRe-RAMの開発」 (エレクトロニクス)

微細化が容易で書き込み速度が高速であるなど、優れた性能を有する次世代不揮発メモリの一つとして、抵抗変化型不揮発メモリ(Re-RAM)が有望視されている。しかし、Re-RAMの動作機構は不明な点が多く、設計を伴う製品化のためのネックとなっていた。

一方、大学院工学系研究科の組頭広志准教授は、放射光を用いた高度な光電子分光法により、遷移金属酸化物の界面電子状態の高分解能かつ高速な解析を可能とした。

今回、パナソニック社と組頭准教授との共同研究が開始され、現在酸化物としてTaOx等を用いた界面においてパルス電圧で抵抗が変化する現象の解析を通じ、Re-RAM実現へ向けた基礎開発段階として動作原理の解明を進めている。なお、共同研究ではパナソニック社も放射光を用いる高度な解析に直接参加しており、産学の技術交流の点でも良い足がかりとなっている。

本実例は、UCR-Proposal を契機として共同研究に発展した事例の一部で、当事者のご了解をいただいたもののみを掲載しております(2009年5月現在)。

【連絡先】東京大学産学協創推進本部 イノベーション推進部