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●内容 | 多くの植物細胞は、脱分化して増殖し、様々な器官に分化する潜在能力(分化全能性)を保持している。植物の産業的利用においては、この分化全能性を人為的に発現させることが頻繁に行われている。挿し木や葉挿しなどによる栄養繁殖、カルスへの遺伝子導入と個体再生による遺伝子組換え植物の作出などはその好例である。しかし、有用植物の中には、分化全能性を容易には発現せず、脱分化・器官再生の困難さから産業的利用が制限されているものも少なくない。 この研究室では、植物の細胞増殖能や器官分化能が再獲得される脱分化過程について研究している。器官再生(不定芽や不定根の形成)に先立って、重要な働きをする遺伝子数種(例えば核内低分子RNAの転写活性化に働くSRD2など)を新たに見出し、その分子機能を明らかにしつつある。これらの遺伝子を細胞増殖能・器官分化能の分子マーカーとして利用することにより、器官再生条件の系統的探索や、器官再生に適した組織の選定が可能になると考えられる。これは器官再生が困難な植物種でクローン繁殖法を開発したり、その他様々なバイオテクノロジーを展開する場合の基盤ともなり得る。 このような研究に興味のある種苗業などの植物バイオテクノロジー関連企業・団体と共同研究をする用意がある。 |
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●研究者 |
准教授
杉山 宗隆
大学院理学系研究科 植物園 |