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●内容 | 細胞質型ホスホリパーゼA2(cPLA2)は生体内に広く分布し、細胞膜のリン脂質からアラキドン酸を遊離させる。この遊離アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(COX)で代謝され、発痛・起炎物質であるプロスタグランジンやロイコトリエンなどが合成される。また、血小板活性化因子(PAF)の産生にもcPLA2が関与している。これらの脂質メディエーターは、急性呼吸逼迫症候群、アレルギー性気管支喘息、関節リウマチ、大腸ポリープ、骨粗鬆症、多発性硬化症、虚血再灌流障害など多様な症状の原因となっている。 これまで、COXを阻害して痛み(疼痛)と炎症を抑制する消炎鎮痛剤(NSAIDs)が開発され、更に炎症特異的に誘導されるCOX-2阻害剤は胃潰瘍などの副作用が少ないため、広く用いられてきた。しかし、このCOX-2阻害剤も血栓などの副作用が判明したため、市場から撤退しつつある。現在は、脂質メディエーター産生の上流であるcPLA2αの阻害剤が有望な新薬になると期待されている。 この研究室は、この分野で長年研究を行ってきており、世界の研究を牽引している。スクリーニング法、アッセイ法の指導、ノックアウトマウスの提供などが可能であり、これらの研究と開発に興味のある企業などとの共同研究を希望している。 |
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●研究者 |
特任教授
清水 孝雄
大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻 国際高等研究所 |