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整理番号 5623   (公開日 2010年10月19日) (カテゴリ 環境・エネルギー経済・経営・政策・法律土木・建築
水力発電と「スーパーグリッド」によるアジアのエネルギー戦略と安全保障
●内容 超低温の超伝導ケーブルによる送電網「スーパーグリッド」は,その送電損失が著しく低く,従来技術では想定し得なかった長距離送電が可能となる.ヨーロッパは「欧州スーパーグリッド計画」により欧州中部〜北部の9国を「スーパーグリッド」でネットワーク化し,再生可能エネルギーの利用を促進するだけでなく、北アフリカ・中東まで拡大させ,砂漠地域の太陽光によって発電をクリーン化すると同時にロシアからの石油や天然ガスへの依存割合を減少させた「エネルギーによる国家安全保障戦略」を既に構築している.
他方,「東南・南アジア版スーパーグリッド計画」はヨーロッパに比べると明らかに遅れを取っている。その原因として,エネルギー戦略の有用性や安全保障の効果が明確ではないことが挙げられるが,実際のところ,その分析が希薄なことに起因している.当研究室では,CO2発生量が他の発電方式に比べ最も低いクリーンな水力発電に着目してきたが、さらに「スーパーグリッド」を組み合わせることにより,東南・南アジアに於けるエネルギー戦略の有用性と安全保障に関して,地域の事例分析に基づき、そのメカニズムを明らかにするためのグローバル研究を展開している.
例えば,域内の安全保障が大きく改善する分析事例のネパールでは潜在的な水力発電量が83,000MWあり,その45,000MWは技術的に実現可能であると評価されながら,実際の最大発電量は自国消費分の680MWに留まっている.その理由は,従来の送電網では物理的に「電力の買い手」は長年に亘り対立関係にあるインドしかないことが挙げられる.しかし,「スーパーグリッド」によって,ネパールはパキスタンにも長距離送電が可能となり,外貨収入は劇的に増大し,消費拡大効果はネパールとインドとの国境沿いの経済圏を刺激し、周辺域内に「スーパーグリッド」が整備され、周辺域内からインドや中国にも波及する.同経済圏においては地域紛争による経済的ダメージは大きくなり,地域紛争の抑止力としてのイニシアティブが期待される.つまり,「スーパーグリッド」という新技術の普及は,東南・南アジアの経済活動と地域紛争間にトレードオフを生じさせ,これら地域の安全保障向上に資することが見込まれる.
同様に,潜在的に大規模水力発電量を有するラオスも,現在は「電力の買い手」がタイや中国に限定されているが,「スーパーグリッド」が構築されると,他地域との新たなビジネスが得られる.その結果,ラオスは電力販売において他国間との交渉が優位となり,域内の政治的影響を回避した外貨収入を得ることが出来るとともに,域内の安全保障が向上することになる.
当研究室では,このような東南・南アジアのエネルギー戦略と安全保障に関心をもつ企業,団体や官庁と共同研究を実施する準備がある.
●研究者
教授 中山 幹康
大学院新領域創成科学研究科 国際協力学専攻
●画像


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DESERTEC(デザーテック)計画
北アフリカと中東での太陽光発電による電力で,ヨーロッパの電力消費を「クリーン化」するDESERTEC計画
(C) DESERTEC Foundation, www.desertec.org

ヨーロッパとアジアでの「スーパーグリッド」
アジアでもヨーロッパと同程度の面積をカバーする「スーパーグリッド」を構築することで,アジアの安全保障は大きく改善される
(C) 中山幹康
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上記内容は、各研究者へのインタビューをもとに東京大学 産学協創推進本部で骨子をまとめたものです。
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