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整理番号 6099   (公開日 2011年12月15日) (カテゴリ バイオテクノロジー医学・薬学農林水産・食品
高病原性型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出方法の開発
●内容 私たちは黄色ブドウ球菌の移動能力を評価する系を構築し、黄色ブドウ球菌の移動に着眼した病原性の理解を試みている。黄色ブドウ球菌の菌液を軟寒天培地の表面にスポットすると、黄色ブドウ球菌は培地表面を広がりながら増殖する(図1)。私たちはこの現象を「コロニースプレッディング」と名付けた。病院で分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (HA-MRSA) はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) に比べてコロニースプレッディング能が低下していた(図2)。また、近年高病原性が問題となっている市中分離型MRSA (CA-MRSA)はHA-MRSAに比べてコロニースプレッディング能が上昇していた(図2)。私たちは、これらの3種の黄色ブドウ球菌株のコロニースプレッディング能の違いが、HA-MRSAの染色体上のメチシリン耐性能を担う可動遺伝要素SCCmec上にコードされるpsm-mec遺伝子に起因することを見出した。MSSA はSCCmecを持たず、CA-MRSAのSCCmec上にはpsm-mec遺伝子が存在しない。MSSAの実験株、ならびにCA-MRSAの臨床分離株にpsm-mec遺伝子を導入すると、コロニースプレッディング能が低下するだけでなく、細胞外毒素産生量の低下、マウスに対する病原性の低下が観察された。以上の結果は、psm-mec遺伝子がMRSAの病原性の抑制因子であり、その存否がMSSA、HA-MRSA、CA-MRSAの病原性の違いを導くことを示唆している。本研究は抗生物質耐性に寄与する可動遺伝要素が病原性調節機能を有することを明らかにした初めての例である。
さらに私たちは、日本の病院から分離されるHA-MRSA株のうち約30%の株がpsm-mec遺伝子の変異を有していることを見出した。すなわち、これらの菌株においてはpsm-mec遺伝子の病原性抑制機能が失われ、高病原性になっていることが推定される。psm-mec遺伝子の変異の同定は、MRSA感染症の増悪を予測するのに役立つと期待される。
●研究者
准教授 垣内 力
大学院薬学系研究科 薬学専攻
●画像


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図1 黄色ブドウ球菌のコロニースプレッディング
軟寒天培地の中央表面に黄色ブドウ球菌の菌液をスポットし、一晩培養した。シャーレ全体に広がる巨大コロニーが形成された。
(C) 垣内 力

図2 MSSA、HA-MRSA、CA-MRSAのコロニースプレッディング
日本において分離されたMSSA、HA-MRSAとアメリカにおいて分離されたCA-MRSAのコロニースプレッディングを測定した。高いコロニースプレッディング能を示したHA-MRSAのpsm-mec遺伝子には変異が見出された。
(C) 垣内 力
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上記内容は、各研究者へのインタビューをもとに東京大学 産学協創推進本部で骨子をまとめたものです。
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