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●内容 | 当該研究者の研究テーマは、量子力学の基礎方程式であるシュレディンガー方程式の構造の数学的解析である。量子力学を数学的に基礎付けるために1930年代にヒルベルト空間の基礎理論が作られて以来、量子力学は多くの数学的手法の母体となってきた。当該研究者の研究は、量子的現象への関心を中心に、いろいろな数学的手法でシュレディンガー方程式の解、スペクトルの構造を調べるというものであり、関数解析はもちろん、超局所解析、フーリエ解析、散乱理論、幾何解析、確率論などの理論を用いている。 量子力学の数学的な研究の道具は、その長い歴史の蓄積から高度に洗練されており、その出発点を大きく超えた応用が見いだされている。量子ウェーブガイド(quantum wave guide)、量子線(quantum line)、光学的結晶(photonic crystal)などへの応用はもちろん、信号処理のウェーブレットの数学的理論も、量子物理の数理物理学研究者から生まれている。当該研究者自身は、応用的な研究を現時点では行っていないが、特に超局所解析(精密な空間/周波数解析)や散乱理論(連続スペクトルの構造の解析手法)は、応用分野の適合する問題においては、極めて強力な道具となるだろうと考えている。機会があれば、量子工学、信号処理などの分野において、現在の理論の枠組みでは解決できない問題を、新たな数学的手法を導入して切り拓いていこうと考えている技術者、研究者との情報交換をしたいと考えている。 |
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●研究者 |
教授
中村 周
大学院数理科学研究科 数理科学専攻 |
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