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整理番号 6482   (公開日 2013年06月25日) (カテゴリ 医学・薬学
CD4陽性CD25陰性LAG3陽性 制御性T細胞による自己免疫疾患制御
●内容 制御性T細胞 (regulatory T cell : Treg)は、自己および外来抗原に対する免疫寛容誘導において中心的な役割を果たしており、その機能不全は自己免疫疾患の発症に直結する。

Tregは、胸腺で誘導される内因性Tregと末梢(胸腺外)で誘導される誘導性Tregに大別され、両Tregが協調することで全身の免疫学的恒常性は保たれている。内因性Tregの代表としてCD4+CD25+ Tregが知られており、転写因子 Foxp3はその抑制機能に重要なマスター制御遺伝子である。一方、誘導性Tregに関しては近年までその特異的な表面マーカーおよび、マスター制御遺伝子は不明なままであり、その研究発展の大きな障害となっていた。

この研究室では、抗原特異的な免疫抑制能を有する誘導性Tregとして、抑制性サイトカインIL-10を高産生するCD4+CD25-LAG3+ Treg (LAG3 Treg)を同定した(Proc Natl Acad Sci U S A, 106: 13974-, 2009.)(国際特許番号 PCT/JP2008/057460)。LAG3 Tregは転写因子Egr2を高発現する。ナイーブT細胞にEgr2を強制発現させるとLAG3 Tregと同様の形質を獲得することより、Egr2がLAG3 Treg機能の中心的役割を担っていると考えられている。その他の誘導性TregサブセットとしてType I Treg (Tr1細胞)が以前より知られていたが、近年、LAG3および、CD49bがヒト、マウスにおけるTr1細胞の表面マーカーとなることが報告された(Nat Med. 19: 739-, 2013.)。

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己抗体産生を特徴とする代表的な難治性自己免疫疾患である。T細胞特異的Egr2ノックアウトマウスがSLE様病態を呈することが知られているが(J Exp Med, 205: 2295-, 2008.)、この研究室と理化学研究所との共同研究によるゲノムワイド関連解析にて、EGR2がSLEの疾患感受性遺伝子であることが明らかとなった(Hum Mol Genet, 19: 2313-, 2010.)。さらにこの研究室では、SLEモデルMRL/lprマウスを用いた検討にて、LAG3 Tregの移入により病態が著しく改善するという知見を得ている。ヒトにおいては、SLE患者でLAG3 Treg数が減少していることを既に確認している(投稿準備中)。

FOXP3遺伝子の機能異常により発症するIPEX症候群患者は、SLEでは稀な難治性腸炎、I型糖尿病などを主徴とするが、SLEで特徴的な糸球体腎炎は稀であり、抗核抗体価は低値、抗dsDNA抗体もほとんど検出されない。また、現在までにCD4+CD25+Foxp3+ Treg除去などにより発症するSLEモデルの報告はない。これらの結果はLAG3 TregがSLEの疾患活動性制御に関与していることを強く示唆している。このように、Foxp3を発現する内因性Tregおよび、Egr2を発現する誘導性Tregによる免疫制御システムはtargetが異なることが想定される。

この研究室では、PD-L1を始めとする複数の抑制性因子がLAG3 TregのB細胞制御に関与することを同定している。また、IL-27によりSTAT3経路を介してEgr2依存性にLAG3 Treg様サブセットがin vitroで誘導されるという知見を得て報告している(Eur J Immunol, 43: 1063-, 2013.)。

近年、自己免疫性疾患の薬物治療は長足の進歩を遂げているものの、臨床現場においては抗原非特異的免疫抑制による感染症を含めた副作用が大きな課題となっている。 LAG3 Tregは抗原特異的な免疫抑制能を有しており、LAG3 Tregによる免疫制御機構の解明は、SLEを始めとする自己免疫疾患に対する新規抗原特異的免疫抑制療法の開発につながる可能性を内包している。この研究室では、マイクロアレイ解析、各種機能解析などを通じてLAG3 Tregに関する知見を多く集積しており、自己免疫疾患制御を目的とした新薬開発に興味を有する企業との共同研究を進めたい。
●研究者
教授 山本 一彦
大学院医学系研究科 内科学専攻
医学教育国際協力研究センター
講師 藤尾 圭志
大学院医学系研究科 内科学専攻
特任助教 岡村 僚久
大学院医学系研究科 内科学専攻
●画像


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制御性T細胞(Treg)分化の概念図

CD4+CD25+ 内因性Tregは胸腺で分化し、Foxp3を発現する。CD4+CD25+ Tregも一部末梢で誘導される。一方、Egr2を発現するLAG3 Tregは誘導性Tregサブセットであり、IL-10を高産生し、抗原特異的免疫抑制能を有する。
(C) 岡村僚久、藤尾圭志、山本 一彦
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上記内容は、各研究者へのインタビューをもとに東京大学 産学協創推進本部で骨子をまとめたものです。
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