新着情報 テーマカテゴリ 全カテゴリバイオテクノロジー医学・薬学農林水産・食品環境・エネルギー素材機械情報・通信エレクトロニクス航空・宇宙大気・海洋経済・経営・政策・法律土木・建築社会・文化・教育基礎科学 ごあいさつ ご利用にあたり 検索方法 プライバシーポリシー ご意見・ご質問 実例集 見つからない場合は? DUCRホームページへ トップページ geta_logo
print
印刷時に縮小されてしまう場合などにご利用ください。

整理番号 7212   (公開日 2016年08月22日) (カテゴリ バイオテクノロジー農林水産・食品
アミノ酸シグナルとインスリン様シグナルを利用した高品質食資源の開発技術
●内容 摂取する食事タンパク質に応答して体タンパク質代謝が調節されていることは、古くから知られている。すなわち、タンパク質が必要量を満たし、かつ全ての必須アミノ酸が要求量に達しているような食事を摂取しているような「良い」タンパク質栄養状態では、タンパク質同化が促進され、体タンパク質の蓄積が起こり、成長期であれば正常に発達・成長し、成長期以降であれば、体タンパク質の蓄積が起こる。これに対して、タンパク質が必要量に満たない、あるいはどれか一つでも必須アミノ酸が要求量を満たしていないような食事を摂取しているような「悪い」タンパク質栄養状態では、体タンパク質同化が抑制され、その結果、成長期であれば成長遅滞が、成長期を越えていれば筋萎縮が起こる。
この研究グループでは、この代謝調節を引き起こす内分泌因子の検索を進め、成長期のラットが、全アミノ酸量が不足している食餌(窒素量が要求量に達していない食餌)や特定のアミノ酸が要求量に達していない食餌(栄養価の低い食餌)を摂取すると、プロインスリンと相同性が高いペプチドホルモンであるインスリン様成長因子(IGF)-Iの産生が低下すると同時に、IGFの血中寿命を延長するIGFBP-3が減少、IGFをクリアランスするIGFBP-1産生が増加する。更に、筋肉などでのIGF活性が抑制され、成長遅滞が起こることを明らかにした。最近になり、全アミノ酸が不足あるいはアルギニンが不足している食餌を摂取しているラットやマウスでは肝臓に脂肪が蓄積し、全アミノ酸が不足あるいはリジンが不足している食餌を摂取していると脂肪組織や筋肉で脂肪が蓄積することを見出した。この分子機構を解析したところ、それぞれの臓器が異なる様式でアミノ酸の低下を感知あるいはインスリンシグナルを変動させ、臓器特異的に脂肪蓄積が起こることがわかった。一連の結果は、「全アミノ酸や特定のアミノ酸が要求量に達していないことが生体でアミノ酸シグナルの変動となって、IGFシグナルが低下し成長遅滞が起こる。この際、十分にエネルギーを摂取していると、それぞれの臓器がアミノ酸シグナルの低下やインスリンシグナルの増強などを介して、過剰となったエネルギーを取り込み、脂肪として蓄積する」という新しい機構の稼働を示している。これは、栄養失調のひとつ「クワシオルコル」の発症機構の一つとも考えられる。この研究室では、他大学や研究所と共同して、この機構を利用して、ブロイラー・地鶏の肝臓の脂肪含量を増加させる飼料(鶏のフォアグラ「白肝」の作出)、リジン不足特異的にブタの筋肉の脂肪交雑を引き起こす飼料(霜降りブタ肉の作出)、養殖魚の筋肉脂質含量を制御する飼料組成の開発を進めている(JATAFFジャーナル 4: 4, 2016)。
そこで、飼料中・食事中のアミノ酸量を調節することにより、臓器特異的に脂肪を蓄積させ、高品質食資源の開発や高齢化社会に問題となっている成人病の治療法の開発を進める共同研究を望んでいる。
●研究者
准教授 高橋 伸一郎
大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻
●画像


クリックで拡大

タンパク質栄養状態の悪化が、成長遅滞や脂肪肝を呈する分子機構
詳しくは、本分の説明を参照。
(C) 高橋 伸一郎

A.10日間例のブロイラーに種々のタンパク質を含む餌を7日間給与した際の肝臓
B.成長期のブタに対照食 (リジン0.65%) あるいは低リジン食 (リジン0.4%) を2ヶ月間給与した際の胸最長筋
(C) 高橋 伸一郎を代表者とした共同研究グループ
mail
上記内容は、各研究者へのインタビューをもとに東京大学 産学協創推進本部で骨子をまとめたものです。
本件に関する共同研究等のお問い合わせは、左のバナーをクリックしてください。スタッフがお問い合わせをお受けいたします。