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整理番号 7613   (公開日 2019年11月13日) (カテゴリ 医学・薬学農林水産・食品
エピゲノムを介した寒冷環境適応機構の解明:持続的な寒さに対する脂肪燃焼メカニズムと 肥満・生活習慣病の治療・予防への応用
●内容  持続的な寒さに対し、体には脂肪燃焼、熱産生のしくみが備わっている。この研究室では、この慢性的な寒冷刺激によって生じる、エピゲノム(遺伝子の後天的修飾)を介した脂肪燃焼・熱産生のメカニズムを解明した。本成果は肥満や生活習慣病に対する新たな治療法・予防法への応用が期待される。
 寒冷環境への適応において重要な役割を持つのが脂肪細胞である。脂肪細胞にはエネルギーを脂肪として貯める白色脂肪細胞と、脂肪を燃焼し熱を産生する褐色脂肪細胞があり、急激に環境温度が低下するとまず褐色脂肪細胞で脂肪が燃焼して熱が産生される。一方白色脂肪細胞はエネルギーを貯めることが役割であるため熱産生能を有しておらず、熱産生に関与する遺伝子も発現していない。しかし、寒冷環境が長期に持続すると、白色脂肪細胞でも脂肪燃焼と熱産生に関わる遺伝子が誘導され、「ベージュ脂肪細胞」へと変化して熱を産生し、個体が耐えられるようになる。
 この研究室では、持続的な寒さによって生じる白色脂肪細胞のベージュ化の過程におけるエピゲノム解析を行い、その機構を解明した。概要は次のとおりである。 白色脂肪細胞中の脂肪燃焼や熱産生に関わる遺伝子はエピゲノムによって通常「休止中」になっているが、長期の寒冷刺激により「活動中」に変化し、寒冷環境に慢性的に適応できるようになる。これは、寒冷刺激を受けるとアドレナリン作用によってヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aがリン酸化され、寒冷刺激が持続すると必要な機能を獲得したJMJD1Aがエピゲノム変化を介して「休止中」だった脂肪燃焼と熱産生に関わる遺伝子群を「活動中」にし、遺伝子を発現させてベージュ化を誘導するというしくみによるものである。
 ベージュ脂肪細胞は、熱産生のために糖や脂肪を活発に消費することから、近年、栄養過多に伴う2型糖尿病などの生活習慣病の治療標的として注目されている。JMJD1A のリン酸化を標的とした脂肪組織のベージュ化機構にもとづく生活習慣病の治療・予防法の開発に応用できるものと期待される。この研究成果の応用・社会実装に関心を持つ企業からのコンタクトを希望する。

 なお、本研究の内容、発表論文等詳細については以下URLを参照頂きたい。
https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/release/20180419release.html
●研究者
教授 酒井 寿郎
先端科学技術研究センター  
●画像


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慢性の寒冷刺激により、白色脂肪組織は、ヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aを介した脱メチル化機構により褐色化(ベージュ化)する。一方、急性の寒冷刺激に対しては、脱メチル化を介さないクロマチンの3次元構造を急速に変化させる機構で褐色脂肪細胞の熱産生機能を最大化する。
(C) 酒井寿郎
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上記内容は、各研究者へのインタビューをもとに東京大学 産学協創推進本部で骨子をまとめたものです。
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