超高齢社会におけるロコモティブシンドローム予防法の確立
この研究室が中心となり2017年に設立された「ロコモ予防学講座」では、変形性関節症、骨粗鬆症、サルコペニアをはじめとする高齢者運動器疾患の大規模統合データベースを構築し、運動器の障害のために要介護となる危険の高い状態であるロコモティブシンドロームの治療法開発や、これ以外にも要介護に影響を及ぼすと考えられるサルコペニア、フレイル、認知症対策に繋がる疫学的エビデンスの解明を目指している。 本講座では、2005 年からわが国の高齢者運動器疾患およびそれによる要介護移行の予防を目的として、一般住民を対象とした大規模コホート疫学研究(ROADプロジェクト)を開始した。このプロジェクトの骨関節疾患を予防目的とした住民コホートは世界最大規模であり、2015 年~2016 年には10年目の追跡調査を完了している。 今後は10年間の追跡調査結果をふまえて、観察疫学とゲノム疫学の手法を駆使し、ロコモティブシンドローム、変形性関節症、骨粗鬆症、サルコペニア、フレイル、認知症をはじめとする高齢者運動器疾患の発生率、発生に関わる危険因子、ADL/QOL への影響、要介護移行率、要介護予防のためのスクリーニング手法の開発などの充実をはかる予定である。