SDGs
連携提案
本研究グループでは、当事者研究※1を通じた新たな価値創造に関心を持ち、研究活動を展開している。当事者研究には、以下のような注目すべき特徴と可能性がある;
1.回復支援効果 :当事者が研究に参加することによって自らの症状に振り回されることなく自己認識を深め、ニーズの主張、主体性、創造性、共感性がはぐくまれる。[例:エスノメソドロジー・会話分析を用いたファシリテート方法の検討とWell-being変化の検証(綾屋, 2013)]
2. 学術的意義 :障害についての学術研究において、新規の仮説を提供する。[例:自閉症に関するまとめあげ困難説(綾屋・熊谷, 2008)]
3. ニーズの顕在化 :アンケート調査などと組み合わせることで、潜在的な困りごとやニーズが顕在化し、新しい支援サービスや技術開発のアイデアが生まれる。[例:まとめあげ支援技術、研究促進のためのライフログ用アプリ開発、学校デザインプロジェクト]
2012年度からは文部科学省科研費助成事業(新学術領域)「構成論的発達科学」※2という研究プロジェクトに参加し、医学・心理学分野との協働による当事者研究から生まれた仮説の検証実験や、ロボティクス・情報科学分野との協働による支援機器開発に着手している。
①当事者研究を用いた教育・就労現場での障害児者支援
②障害の有無にかかわりなく当事者研究の手法を用いた職場内での効率的な情報共有と価値創造
③潜在的ニーズの把握やアイデアの実現
などに興味のある企業・団体からのコンタクトを希望する。
※1 精神障害や依存症、発達障害などの当事者が、自らの困りごとの言語化と理論化を、類似の経験の持ち主とともに共同研究しようという日本固有の取り組み。全国そして韓国、中国などにも広がりつつある当事者研究のネットワーキング・アーカイブ化事業についても、上記科研費助成を得て進行中である。[関連HP:http://toukennet.jp/]
※2 http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/about
当事者研究の様子
様々なファシリテーション技法や媒体を駆使してオリジナリティあふれる研究が蓄積されている。
© 熊谷晋一郎
支援機器開発
工学系研究者との共同により、当事者研究から生まれたアイデアを、支援機器開発につなげる取り組み。
© 熊谷晋一郎