東京大学産学連携プロポーザル

竹峰 義和教授
大学院総合文化研究科 超域文化科学専攻

SDGs

連携提案

フランクフルト学派の思想家(とりわけTh. W. アドルノとA. クルーゲ)の映像メディアをめぐる理論と実践について考察する作業を軸に、近現代のドイツ思想を研究している。くわえて、最近では、ヴァイマル時代を中心にしたドイツ映画や、映画亡命というテーマにも取り組んでいる。
例えば、マスメディアと「対抗公共圏」をめぐる理論と実践について以下のような研究を行っている。

テレビをはじめとするマスメディアの公共的機能という理念は、商業主義的な圧力に晒されるなか、すでに形骸化して久しい。だが、その一方で、コミュニケーション、表象、経験の場としての「公共圏」の形成にあたって、なおもメディアが圧倒的な影響を及ぼしていることも事実である。
本研究室では、フランクフルト学派の系譜に位置するドイツの映像作家・社会思想家アレクサンダー・クルーゲ(1937-)の「対抗公共圏」をめぐる理論と実践を、思想史的・メディア論的・社会学的な観点から研究している。既存のメディアを〈他なるもの〉への知覚媒体へと機能転換させることで、社会的経験の地平を新たに再編成するべきだというクルーゲの「対抗公共圏」論と、その実践として1980年代後半から現在にいたるまでドイツの民放テレビで放送されている自身のプロデュースによる文化情報番組(「10 vor 10」など)は、既存のメディア体制のなかで現実的に実行しうる「対抗」の方途をプラグマティックに模索するための戦略的実験にほかならない。クルーゲの試みを、そのアクチュアルな射程と限界という点から精査することは、オルタナティヴなメディアの在り方を思考するための新たな視座をもたらすだろう。

 アドルノ、複製技術へのまなざし――〈知覚〉のアクチュアリティ(青弓社、2007)
© 竹峰 義和

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連携への希望

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