程 久美子准教授
大学院理学系研究科 生物科学専攻
SDGs
連携提案
この研究室では、小分子RNA作用マシナリーの調節機構および体系的遺伝子機能解析を研究テーマとしている。近年のトランスクリプトーム解析によって、ヒトを含む高等真核生物には、タンパク質をコードしないノンコーディングRNAが多く存在することが明らかになってきた。ノンコーディングRNAの数や多様さと生物の複雑さには強い相関が見られることから、これらが生物の高次機能に深く関与していることが指摘されており、ノンコーディングRNAの機能を明らかにすることは、ゲノム科学における大きな課題となっている。本研究室では、小分子のノンコーディングRNAである、miRNAやsiRNAの作用機序に関する研究を行っている。
この研究の応用に関心のある企業との連携の用意がある。
この研究の応用に関心のある企業との連携の用意がある。
事業化プロポーザル
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RNAサイレンシングによる1遺伝子特異的ノックダウン法の利用近年のゲノム科学研究の進展により、ヒトを含む高等真核生物には、タンパク質をコードしない非コードRNA (non-coding RNA)とよばれるRNAが多量に存在し、様々な生命現象を制御していることが明らかにされている。RNAサイレンシングは、21塩基程度の小さな2本鎖RNAであるsmall interfering RNA (siRNA)やmicroRNA (miRNA)が、相同な塩基配列をもつ遺伝子の発現を抑制する現象である。 この研究室では、RNAサイレンシングの機構を解明するとともに、siRNAによって特定の遺伝子の発現を特異的にノックダウンするRNA干渉法という手法の構築を行っている。他の遺伝子に全く影響を与えず、効率よく特異的に遺伝子の発現を抑制できるsiRNAは、その作用機序に基づくいくつかの特徴をもっている(図参照)。このようなsiRNAの設計法に関する最新の方法については、ウェブサイト(http://sidirect2.rnai.jp/)で公開しているのでご利用いただきたい。
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CRISPR/Cas9システムに用いるsgRNAの配列設計近年、CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集法が幅広く利用されている。本手法は標的とするゲノムDNAと20塩基の塩基配列の相補性をもつsgRNAがCas9タンパク質と複合体を構成し、塩基配列の相補性により対合してゲノムDNAの編集を行う手法である(図参照)。本手法は、基本的にどのような生物種でも利用できるため、これまで遺伝子改変が困難とされた生物種や細胞系でも利用可能な新規の有用な手法として注目されている。 この研究室では、バイオインフォマテイックスを用いて、ゲノム全体の中で特定の遺伝子のみを標的とできる塩基配列がどの程度あるのかを様々な生物種で解析し、その結果、ゲノムサイズの大きいヒトやマウスなどでは標的以外の領域に変異を挿入するオフターゲット効果が強く見られる可能性を明確にしている。そのため、ヒトやマウスではゲノム全体の中で特異的な配列を選択してsgRNAとして利用することが必要であり、そのような手法を構築している。このようなsgRNA設計法に関する最新の方法については、ウェブサイト(https://crispr.dbcls.jp/)で公開しているのでご利用いただきたい。