津江 光洋教授
大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻
SDGs
連携提案
当研究室では航空宇宙分野で使用される推進機関における燃焼現象を中心に、内燃機関、環境適合技術、宇宙環境利用および環境科学に関する研究を行っている。燃焼や化学反応を含む反応性熱流体の現象に着目し、基礎研究から応用研究に至るまで、実験および数値解析の両面よりアプローチしている。
研究成果の実用化に関心のある企業との連携が可能である。
事業化プロポーザル
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NO分子をトレーサーとした流速測定法流れ場で流速を測定する方法としては、固体粒子をトレーサーとして用いるレーザドップラー法等が一般的であるが、トレーサーが固体であることによる制約(高速流では機器を損傷する等)も大きい。この研究室では、気体分子NOをトレーサーとして用いる流速測定方法を開発した。これは測定対象の流体中にNO2を加え、それに紫外線レーザーを照射し光解離することによって発生するNO分子の移動をレーザー誘起蛍光法によりカメラで捉えることで、流速を計測する手法であり、すでに実験によりその動作を確認している。 図1は実験装置のレイアウトである。 円管から垂直上方へNO2を添加した気体(空気)を噴射している(黄色の矢印)。円管出口からある高さ(この場合は25mm)の位置に気体噴流に垂直に355nmのシート光(濃い水色)を照射し、NO2を光解離させてNOを生成させる。シート光上に生成されたNOはタグ状になって噴流に従って下流(上方へ)移動する。このタグ状のNOをLIF法により可視化する。そのため、355nmのシート光を照射してから一定時間経過した後、LIF法の励起光となる226.1nmのレーザシート光を照射する。このNOタグの動きから噴流の速度分布を計測する。その結果の時間挙動変化を図2に、計測された噴流内速度分布を図3に示す。
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光化学反応を利用した排煙脱硝技術NOxを含む大気中に水蒸気を加え紫外線を照射することにより、減圧下(5.34kPa)、常温下でNO、NO2の低減が可能であることを確認した。また反応動力学を用いた数値計算から常温、大気圧下においても同様の傾向があることを明らかにした。この技術はNOx含有ガスが滞留しているような場所(地下駐車場、バス停交通量の多いトンネル)においてNOxを処理する脱硝装置になどに応用されることが期待される。 図1の説明: 白三角は、実験から求められたNO濃度(FTIRにより計測)を、実線は、数値計算によるNO濃度の予測結果を表す。紫外線照射後、約15分経過すると最初に100ppm存在していた大気中のNOの濃度はゼロとなる。その途中でNO2濃度(黒三角)が若干増加する(NOがNO2に変換されるため)が、NOと同様に約15分後には濃度はゼロとなる。それらは最終的には硝酸(HNO3)として回収される。