マテリアル先端リサーチインフラ事業の紹介
文部科学省は共用設備の活用による研究開発を推進しており、平成24年度にプラットフォーム事業を開始した。東京大学は微細加工および微細構造解析の各分野で事業拠点となり、共用設備の利用を開始している。また令和3年度からはマテリアル先端リサーチインフラ事業に引継ぎ、継続的な研究支援を行っていく予定である。 本リサーチインフラハブは、電子顕微鏡をはじめ、表面分析装置、結晶構造解析装置、電磁特性測定装置、光学特性測定装置など、様々な分野の装置を取り揃えており、1カ所で多角的な分析ができるのが大きな特長である。 電子顕微鏡は走査型透過電子顕微鏡(STEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)が設置されており、各種の用途に応じて使われている。特にSTEM/TEMではJEM-ARM200F(日本電子)が4台、稼働しており、原子分解能観察や各種分析に活用されている。 結晶構造解析装置は薄膜、粉末用にSmartLab(リガク)3台、単結晶用にVariMax Dual(リガク)、さらに高精度の解析向けにSuperLab(リガク)が設置されている。この他に有機高分子材料用にMicro7HFM-AXISⅦなどが設置されている。 SIMSは空間分解能50nmのNanoSIMS 50L(アメテック)が設置されている。国内で外部に利用が解放されているのは当拠点のものだけである。 その他にもXPS、エリプソメーター、プローバー、など各種の分析機器が設置されている。 利用については、まずコーディネート室(Tel:03(5841)6372, mail:info@lcnet.t.u-tokyo.ac.jp)にお問い合わせいただきたい。問い合わせ内容により、利用者、設備担当者およびコーディネート室の3者で相談できる場を設け、試料の組成や形状および分析目的等の説明をしていただき、分析可能かどうか、他に手法はあるかなどを検討する。また、その場で利用規則を説明し、了解をいただいた後、利用申請の手続きを行うことにしている。利用者は連絡先や研究課題などを登録し、手続きが完了する。利用申請後、利用者は直接、設備担当者に連絡し、設備の利用予約をして、利用が開始される。 利用形態は、利用者自身が機器を利用する機器利用、設備担当者に補助をしてもらいながら利用する技術補助、試料分析を依頼する技術代行があるが、当拠点では機密保持、マンパワーの点から機器利用を推奨している。初めての方は技術補助から始めることができるが、速やかに機器利用に移行していただけるよう、各種機器の利用に関する講習会や分析手法についてのセミナーを開催している。