松浦 幹太教授
生産技術研究所 情報・エレクトロニクス系部門
SDGs
連携提案
松浦研究室では、誰もが快く情報をやり取りできる社会システム構築への科学的貢献を目標とし、 情報セキュリティの研究に取り組んでいる。暗号理論とその応用、ネットワークセキュリティ、セキュリティマネジメントを対象として理論から応用に至る研究を進めている。セキュリティ技術の開発、あるいはセキュリティ対策に関心のある企業・団体との連携を希望する。情報セキュリティの中で守備範囲は広く、例えば、ブロックチェーンや情報セキュリティ経済学の研究も可能である。
事業化プロポーザル
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人工知能のセキュリティ深層学習などの人工知能は、画像認識や音声認識、自然言語処理、確率過程に関する予測などを含む多様なタスクで高い精度を出すことがわかってきたため、注目を集めている。しかし一方で、入力データに微小な改変を加えることによって出力を大きく誤らせることが可能な敵対的入力の存在が報告され、さらに発展的な攻撃や、虚偽情報の悪影響も知られている。例えば、自動運転が騙されれば、甚大な事故につながりかねない。投資支援システムが微妙に騙され続ければ、その不正に誰も気づかないかもしれない。これらに関する脅威分析を十分に行い、対策を講じることは、人工知能を利用したシステムを提供する側の社会的責任である。松浦研は、人工知能に関する事前情報が不十分な状況での高度なブラックボックス攻撃技術、攻撃の検知技術、あるいは攻撃耐性を強化する技術に関する先駆的な研究成果を挙げている。
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ブロックチェーンとその応用ブロックチェーンは、追記更新と随時検証が可能な形で、取引記録や処理記録などを分散共有管理する自律分散システムである。2009年に登場した仮想通貨ビットコインで使われて以来、フィンテックだけでなく、小口電力売買管理、食料サプライチェーン管理、医療情報システム管理などの応用に期待が集まり、活用事例も増えている。松浦研は、ビットコインの登場以前から、ブロックチェーンを支える主要技術や経済工学的理論の多くに関する先駆的な研究成果を挙げている(仮想通貨の採掘に使う作業証明技術は1998年、デジタルタイムスタンプ技術は1999年、仮想通貨のトークンモデルとその金融派生商品は2001年、記録の証拠性を支える電子公表技術は2003年)。また、本格的な科学的評価を経ずに実用化が過熱している問題を克服するため、国際的な研究ネットワークの初期ノードの一つを2016年から運用し、産学連携活動であるBASEアライアンスを2017年に立ち上げるなど、ブロックチェーンを基盤技術として育てる環境を整えている。