東京大学産学連携プロポーザル

石崎 雅人教授
大学院情報学環

SDGs

連携提案

  現代社会ではスピードが極端に強調されるあまり、社会・組織において、トップだけ、ボトムだけ、そしてその2つを短絡的に結びつけた判断に基づく実践が行われることが多くなっている。スピードが重要であることは論を俟たないが、そのことはスピードだけを考慮すればよいことを意味するわけではない。スピードだけを重視して、トップが現場の状況を数字だけで判断する場合、ボトムに無理がかかってしまう。組織としては数字だけで把握しているので、なぜうまくいかないかについて分析し学習することができない。他方、ボトムが組織が直面する課題を考慮せずに声を上げ、トップがそれに応えてしまうと、組織レベルでの発展には結びつかない。

 ここで指摘したことは、経営学で野中郁次郎が約30年前に提唱したミドルアップマネジメントと同じである。しかし野中が指摘した概念が取り入れられ、組織が発展してきたとはいえない。その理由をすべてあげることはできないが、1つには手段化した情報技術礼賛の傾向があると考えている。いろいろなところで述べられているように、情報技術は目的を達成するための手段であって目的ではない。しかし、スピードが過度に重視され、情報技術は組織の目的に合わせるべきところが、情報技術に組織をあわせるようになっている。情報技術が組織を発展させる技術となり得ることは間違いないとしても、現代社会において、情報技術の役割の中でもっとも考えやすい効率化だけが話題になっていることからこの傾向が読み取れる。

 本連携では、組織におけるミドルの役割をコミュニケーションの観点から実証的に明らかにするとともに、その知見に基づいて組織を発展させる情報技術を提案する。

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