野生霊長類の感覚関連遺伝子集団内多様性の探索による生物多様性解明への貢献
カテゴリー
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- 環境・エネルギー
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SDGs
研究内容
近年色覚や様々な化学物質感覚センサーの遺伝子が同定されている。色覚と化学物質感覚センサーが相互にどのような適応的意義をもつのかを理解することはヒトを含めた霊長類の進化を理解する上で極めて重要である。そのためには野生の集団中でこれらの遺伝子がどのような多様性を持つかを調査することで自然選択を検出する方法が極めて有効である。本研究では色覚の様相の異なる様々な種の霊長類の野生集団を対象に、色覚、嗅覚、フェロモン知覚、味覚の受容体遺伝子及びゲノム中の中立対照領域の塩基配列多型性を調査し、自然選択の予測された遺伝子に対し機能解析を行ない、野生行動との関連を検討することで、霊長類感覚系の適応進化に対する理解を特段に深める。得られた成果は霊長類全体の感覚進化の理解を大きく進めるだけでなくヒトの色覚変異をはじめとする感覚多様性についても新たな視点を与えると予想される。
種内変異は環境適応への源泉であり現在進行形の進化の反映である。モデル生物は決して生物全体を代表せず、1個体のゲノム情報は決して種を代表しないことが一般に認知され始め、時代は多様性の探索とその意味付けという生物学本来の重要な側面に立ち戻りつつある。中でもヒトに近縁な野生霊長類の遺伝的多様性の理解は進化学の重要なテーマでありヒトの進化を理解する上でも極めて重要である。また野生状態の多様性の実態を明らかにすることは環境と絶滅危惧動物種の保全といった極めて今日的で切迫した問題への指針を与えることができる。
自然の中のクモザル
中米コスタリカの調査地で果実探索中のクモザル:色覚に種内多様性をもつ新世界ザルの1種
© 河村正二
自然の中のオマキザル
中米コスタリカの調査地でお昼寝中のオマキザル:色覚に種内多様性をもつ新世界ザルの1種
© 河村正二
連携への希望
これらのテーマに関心のある企業等に対して、コンサルティングが可能である。
公開日 / 更新日
- 2021年11月17日
識別番号
- No. 00012-01