アミノアシルtRNA合成酵素ドメインの血管新生に係る新規機能の解明と応用
カテゴリー
- バイオテクノロジー
- 医学・薬学
SDGs
研究内容
チロシルtRNA合成酵素(TyrRS)とトリプトファニルtRNA合成酵素(TrpRS)は、tRNAに夫々チロシン及びトリプトファンを結合させる蛋白質合成を触媒する過程において重要な酵素であると認識されていた。
最近、意外なことにtRNA合成酵素が全く別の機能を持つことが判明した。即ち、この研究者らは、ヒトTyrRSがアポトーシスの初期段階で細胞から分泌され、余分な付加ドメインがプロテアーゼで切断された後、触媒活性ドメイン、及び付加ドメインが夫々、好中球活性化、単球活性化をもたらす2種類のサイトカインとして働くことを発見した。更に、ヒトTyrRSの触媒活性ドメインは血管新生促進因子として働くこと、他方、ヒトTrpRSの触媒活性ドメインは逆に血管新生抑制因子として働くことを明らかにした。
この研究室では、医療に貢献できる新機能性蛋白質の開拓を目指しているが、引き続き、このヒトTyrRS, 及びヒトTrpRSの血管新生に関する制御メカニズムの解明、並びに、これら蛋白質の分子進化過程の解明を行っている。更に、この新しい概念を展開するために、アミノアシルtRNA合成酵素の更なる新機能の探索にも挑んでいる。
チロシルtRNA合成酵素(TyrRS)とトリプトファニルtRNA合成酵素(TrpRS)の新規機能
(但し、TyrRS, TrpRSの触媒活性ドメインをそれぞれ赤、青、付加ドメインを黒で示した。)
© 若杉 桂輔
想定される応用
この研究は、蛋白質、及びその断片が持つ生体制御機能の解明や創薬研究において、新規なコンセプトをもたらす可能があると考えられる。
連携への希望
このような研究開発と応用に関心のある企業・団体との共同研究を希望している。
公開日 / 更新日
- 2021年11月29日
識別番号
- No. 00067-03