糸状菌由来ポリケタイド合成酵素のドメインスワッピングによる物質生産
カテゴリー
- バイオテクノロジー
- 医学・薬学
- 農林水産・食品
SDGs
研究内容
糸状菌由来ポリケタイドは、構造多様性を有し、高脂血症治療薬であるlovastatin、免疫抑制剤であるcyclosporin等の医学的に重要な化合物群を含む。ほとんどの糸状菌ポリケタイドは、触媒ドメインが一本のポリペプチド鎖に連なって存在するモジュール型の酵素によって合成される。触媒ドメインには、ポリケタイドの伸長回数を制御するketosynthase (KS)、環化様式を制御するproduct template(PT)ドメインが含まれる。近年、糸状菌由来PKSの反応の解析例が増加したこと、ドメイン間のリンカー部位のアミノ酸の予想プログラムの発達により、ドメインスワッピングが可能となりつつある。本研究では、縮合回数の異なるKSドメインと環化様式の異なるPTを組み合わせたキメラ酵素を糸状菌、酵母にて発現することにで、新規な糸状菌ポリケタイドの生成を試みる。
図1. 糸状菌I型PKSの触媒する反応。SAT、MATドメインによる基質のロード、KSドメインによるポリケタイド鎖の伸長、PTドメインによる環化、CLC/TEドメイン等による生成物の解離によって生成物が合成される。
© 天然物化学教室
図2. PKSのドメインスワッピングによる物質生産の例。本来、7回縮合のKS、6→11位環化のI 型PKSであるACASのKS、PTをそれぞれ、6回縮合型のKS、2→7位型のPTに組換えることで、新たな化合物が得られる。
© 天然物化学教室
連携への希望
このような、人為的な酵素設計による新規物質生成系の創出研究に関心を持つ企業との共同研究を希望する。
公開日 / 更新日
- 2021年12月22日
識別番号
- No. 00147-02