より良い日本酒を作るための、ゲノム編集した日本酒酵母
大矢 禎一大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻
清酒酵母の育種では予期せぬゲノム変異(オフターゲット変異)が起きやすく、それが日本酒の品質や製造効率を大きく左右している。このような課題の解決に向け、本研究室では清酒酵母のCRISPR-Casシステムを用いたゲノム編集を行い、安定した品質と高い製造効率を得られる酵母の開発に成功した。 本技術では、酵母のゲノム編集において高効率で狙った部分だけ変異を加えることが可能であり、オフターゲット変異を極めて低頻度に抑制できる。例えば、清酒酵母のAWA1遺伝子の機能欠失により、もろみ中に泡の層の形成を防ぎ、高い醸造効率が得られる。また他の3種の遺伝子の変異/機能欠失によって香りの構成物質や有害物質の発生量のコントロールを実現している(図1~3)。 なお、本技術の詳細については、関連情報の技術紹介資料をご覧いただきたい。