表現する人と場所の支援を通したコミュニティの活性化
新藤 浩伸大学院教育学研究科 総合教育科学専攻
人が表現する行為とその場所のありかたに関心をもっている。コミュニティアートという言葉はここ数十年国際的に注目されているが、日本でも「アート」の文脈にとどまらない生活文化、地域の歴史文化を基盤にした着実な活動が行われている。日常生活のなかの私事的な活動としてあまり顧みられることはないかもしれないが、そうした活動こそ人が生きる上でかけがえのないことであり、社会の基本的な力にもなりうると考え、その支援の方策を探求している。 また、公共ホールや博物館といった地域の施設を一つの拠点に、それぞれの施設のもっている資源を活かしながら、かかわる人や地域をどう活性化させていくかについて探求している。既存の施設の活性化はもちろん重要だが、その基盤となる職員体制や財政状況等が厳しい環境におかれ、そこに働く専門職員もさまざまなストレスを感じながら、十分専門性を発揮できず、日々の業務に忙殺されている状況がある。学校の教員などに比べればこうした問題は論議になりにくいかもしれないが、地域の施設の活性化は、市民の熱意とそれをうけとめ励ます職員の努力あってこそ成り立つものである。そうした専門職員の悩みにも向き合いながら、施設とそこに集う人のありかたをともに考えていく協働関係の構築が必要と考えている。