井上 広滋教授
大気海洋研究所 海洋生命システム研究系海洋生命科学部門
SDGs
連携提案
分子海洋生物学分野では、ゲノミクスや、分子生物学的な研究手法を通して、重要で興味深い生命現象の分子メカニズムとその進化的、生態学的意義の解明を目指している。現在以下のような研究テーマに取り組んでいる。
種特異的な生息場所を決める分子機能の解明
・深海の熱水噴出域への適応機構とその進化
・付着性生物の環境適応と付着機構
自然環境の保全・遺伝的多様性の理解にむけて
・メダカ類・イガイ類を用いる環境評価
研究成果や研究手法の応用に関心のある企業・団体との連携が可能である。
事業化プロポーザル
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メダカ近縁種の研究モデルとしての利用メダカ(ニホンメダカ、Oryzias latipes)は、飼育が容易で、世代時間が短く、毎日産卵する等、実験動物として優れた性質を持っているため、各種の研究に用いられている。メダカには約20種もの同属近縁種が存在し、主として東南アジアに生息している。これらの近縁種のうち、ジャワメダカ(O. javanicus)や、インドメダカ(O. dancena)は、メダカの持つ実験動物としての利点を備えているうえに、海水への適応能力が高く、海水中で飼育繁殖させることが可能であるため、海水魚のモデルとして有望である。 この研究室では、これらの種の遺伝的多様性、環境適応のメカニズムや、これらの種を用いた環境モニタリングの方法について東南アジア各国の研究者と連携しながら研究を行っているが、それ以外にもメダカ近縁種を用いる研究テーマでの共同研究、あるいは入手方法や飼育管理等に関する支援や指導を行うことが可能である。 また、トランスジェニックメダカ類を用いた水質モニタリングに用いる容器(例えば、トランスジェニック魚を収納して、検査水を連続的に通水し、魚の色や蛍光の変化をモニタリングする容器)の開発に関する共同研究提案も受け付けている。
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熱水噴出域固有生物の環境適応機構の解明と生息環境測定技術の開発深海の熱水噴出域には、化学合成生物がつくる有機物に依存する生物群集が存在する。これらの生物が栄養を得るためには、熱水の近くに生息する必要があるが、熱水には硫化水素等の有害物質が高濃度に含まれている。 この研究室では、熱水噴出域固有生物が硫化水素等の有害物質をどのように無毒化しているのかを解明しようとしている。その際、1000m以深の生息現場の硫化物濃度や温度、pH等を測定する技術や、生物の行動を記録する技術が必要である。