西村 拓教授
大学院農学生命科学研究科 生物・環境工学専攻
SDGs
連携提案
土壌は、非常に貴重な天然資源である。昨今、その土壌が劣化する砂漠化、塩類化をはじめ、工場や家庭からの排水による土壌汚染、そして地下水汚染や、農地において貴重な土壌が失われる土壌侵食といった問題が起きている。これらは、重要な地球環境問題である。ところが、土壌に関わる様々な物理・化学・生物的な現象について、まだたくさんのブラックボックスがある。そこで、環境地水学研究室では、まず国内、海外のフィールド(たとえば塩類化が起きている中国など)における現地調査・測定にて、様々な問題が、どのようにして実際に起きているのかを調べる。また、現地の土を実験室に持ち帰って、その土はどういう性質の土なのか、現場で起きている現象を再現できるのか、といったことを徹底して調べている。このように、様々な実験で得られたデータを解析することで、土の中で起きている現象を明らかにしている。
以下のような研究テーマに取り組んでおり、応用・実装に関心のある企業・団体との連携が可能である。
研究テーマ
土壌環境保全が地球環境に与える影響
化学物質の形態と移動に関する研究
土壌中の物質循環過程の解明
土壌科学を基礎とした沙漠化防止、持続的農業 に関する研究
土壌汚染の予測と対策
事業化プロポーザル
-
水分不飽和土壌中の移動現象の解析とその応用農地をはじめ、河川堤防や建築地盤などの地盤となる土地は、乾燥状態から水分不飽状態にいたるまでのさまざまな水分量を含む水分不飽和な土壌である。現状では、この水分不飽和な土壌の地盤としての機能を正確に評価し、それに基づいた設計を行うためには、なお解明すべき点が残されている。
-
畜産廃棄物の再資源化における土壌汚染リスク畜産飼料中には亜鉛、銅が動物薬成分として、また栄養成分として多量に含まれており、畜産廃棄物中にも多く含まれる原因となっている。畜産廃棄物の農業用肥料としての再資源化が促進されているが、近い将来この亜鉛、銅が土壌汚染物質として問題となることが予想される。この研究室では、土壌中における肥料成分の蓄積状況や温暖化ガス発生を含めたその動態の解明に取り組んでおり、亜鉛、銅に関しても重点的に取り組んでいる。
-
土壌ガスのモニタリング土壌由来の温室効果ガスの発生量、動態は、連続測定データが少ない一方で、放出の時間的変動が非常に大きいということが近年わかってきた。ガス透過性樹脂を土中に埋設し、ターゲットとなるガスをセンシングできるセンサーを挿入することで、土壌中のガス濃度の連続測定が可能になる。