白樫 了教授
生産技術研究所 機械・生体系部門
SDGs
連携提案
この研究室では、熱力学、ミクロ・マクロ物質輸送や電磁気学を基礎として、
・細胞、医療検体、タンパク質の長期高品位保存
・誘電分光による結合水の測定技術
・電子機器の小型冷却、マイクロ蒸発器等の熱制御デバイス
に関する研究を行っている。
これらの技術の共同開発、産業応用に関心のある企業との連携の用意がある。
事業化プロポーザル
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材料中に含まれる水分子のダイナミクス測定による材料特性・劣化の予測生体、インク、建材、土、コンクリート等の高分子水溶液やゲル、無機多孔質材料のうちには水が含まれおり、様々な状態で材料を構成する分子と干渉することで、材料の性質やその経年変化に影響を与えている。この様な材料と干渉する水を総称して結合水と呼び、その分量と分子運動の程度を知ることは、水を媒介した種々の化学反応、相変化の速度や力学的性質を知る上で重要である。非常に広い帯域の水分子の回転運動の速度とその量を測定する方法として、とりわけ誘電分光は、水がもつ大きな双極子モーメントの緩和時間として直接測定できる点で他の分光法にない特徴をもつ。 この研究室では、 1)極微量の材料を広帯域誘電分光することにより、材料中に含まれる種々の緩和時間をもつ水分子の緩和時間分布を測定 2)材料表面(例えば皮膚など)から1mm程度の深さまでの自由水の水分分布を測定する技術を有している。
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生体・食品の高品位長期保存を対象とした凍結・凍結乾燥に関する研究生体や食品を必要に応じて利用するためには需要と供給のバランスをとるため、貯蔵することが不可欠であり、そのための高品位な凍結・凍結乾燥技術は実用的に非常に重要なものである。生体や食品は、水分を多く含み、常温で劣化し易い性質を持つことから、その保存には水の凝固(凍結)やガラス化といった相の変化や、分子運動の程度(活性)を測定・制御することが重要である。 凍結に関しては、冷却速度や生体内の溶質濃度を考慮した細胞内外の凍結現象の解析や、氷結晶の粗大化を抑止したり監視する技術の開発を行ってきた。また、特に医療用生体の乾燥保存を目的として、生体内の水分子の運動の緩和現象を測定する手法を開発し、結合水の定量測定をすることで水分子のダイナミクスが保護効果に及ばす影響を調べている。現在は、養殖用魚卵の保存、医療用検体やプロテインチップの乾燥保存に取り組んでいる(詳細については、下記研究室HPを参照のこと)。