SDGs
連携提案
触媒技術に基づくエネルギー資源の創成を目指し、以下のような研究に取り組んでいる。
1.新しいエネルギー資源の創成と社会システムの構築
現代の人類は、地球規模でのエネルギー問題に直面している。在来型化石燃料や地下資源等のエネルギーに主に依存している現状から脱却する方法の一つとして、人工光合成に代表されるような新しいエネルギー”資源”の創成が模索されている (エネルギー資源のパラダイムシフト)。現実的な方法の一つは、太陽光、風力、潮力、地熱発電等の再生可能エネルギーを利用することだが、この再生可能エネルギーを効率的に利用するためには、そのエネルギーを物質エネルギーへと変換し、社会で広く利用可能な新しいエネルギー”資源”を創成する必要がある。当研究室では、この新しいエネルギー”資源”の創成とそれを利用した革新的な社会システムの構築に挑戦している。
2.アンモニアを資源に変える触媒技術の開発
アンモニアは大気中の窒素から合成でき、水と窒素のみを排出する新しいエネルギー資源として期待されている。アンモニアをエネルギー資源として利用する「アンモニア社会」の実現に必要な次世代型窒素固定触媒の開発を行っている。分子触媒である窒素錯体をデザインし、常温常圧の温和な条件下で進行する触媒的なアンモニア合成反応の開発に取り組んでいる。
3.資源・エネルギーの観点からの触媒反応開発
身の周りにあるプラスチックや医薬品等の化成品等は、触媒を用いた化学反応の積み重ねで合成されている。より効率的な合成法の開発は資源、エネルギーの観点から重要であり、我々は触媒技術を用いることで、未来を担う化学反応の開発に取り組んでいる。
研究成果の応用・実用化に関心のある企業との連携を希望する。
事業化プロポーザル
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次世代型窒素固定法の開発アンモニアは現代生活においても医薬品、工業製品、化成肥料などを合成する上での一次原料として重要な化合物である。また、最近は、水素キャリアー及びエネルギーキャリアーとしても注目されている。しかしながら、現在、アンモニアの工業生産は約100年前に開発されたハーバー・ボッシュ法によって合成しており、高温・高圧という環境負荷型の反応条件が必須である。 当研究室では低炭素社会の実現に向け、省エネルギー型の新しい窒素固定法の開発に成功している。
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遷移金属触媒を用いた新しい反応場・触媒反応の応用当研究室では、遷移金属塩、有機ヘテロ元素化合物及び有機金属化合物が関与した新しい触媒的有機単位反応及び不斉合成反応等の精密有機合成の開発を行っている。 特に、これまで用いられていた単一の金属を用いた反応場では達成できなかった新しい反応場を利用することで、従来には無かった新しい触媒反応の開発に成功してきた。 最近では、遷移金属触媒と有機触媒とを協奏的に利用した概念的にも新しい触媒反応や可視光を利用する光誘起電子移動系を用いた触媒反応を開発することにも成功している。
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窒素ガスからの触媒的シリルアミン合成温和な反応条件下での窒素固定法の開発は、化学者が達成すべき最も重要な研究課題の一つである。当研究室では次世代型窒素固定法の開発に関連して、安価な鉄系触媒を用いた常温常圧の窒素ガスからの触媒的シリルアミン合成の開発に成功した。生成物のシリルアミンは加水分解することにより容易にアンモニアへと変換できるアンモニア等価体である。モリブデン錯体に加えて、安価で入手容易な鉄錯体が適用可能なことも明らかにしている。