幾原 雄一教授
大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻
SDGs
連携提案
本研究室では、最先端のナノ計測技術と理論計算法を駆使し、結晶界面の構造とその特性発現メカニズムの本質的理解、さらには結晶界面を高度に制御した新規材料設計指針の構築を目的として研究活動を行っています。 代表的な研究テーマとして、以下のような研究に取り組んでいる。
・セラミックス粒界の原子・電子構造と機能発現メカニズムの解明
・転位を利用した新規ナノ細線デバイスの創出
・異相界面の原子・電子構造解析
・走査透過型電子顕微鏡(STEM)と電子線エネルギー損失分光法(EELS)による「究極の分析」
研究成果の応用・実用化に関心のある企業との連携を希望する。
事業化プロポーザル
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反強磁性体中転位を利用した原子スケール強磁性細線の作製下記研究者、及び博士課程在籍の杉山一生氏による本発明は、結晶中に強磁性ナノ細線を作製する手法に係るものである。酸化ニッケルをはじめとする反強磁性体薄膜を作製する際に、格子定数が薄膜と異なる基板を用いることで、格子定数差を緩和するために、薄膜中に一次元の格子欠陥である転位が導入される。この転位を利用することで、原子スケールで微細な一次元強磁性体を作製することができる。 作製される微細な磁性体は、反強磁性結晶中に埋め込まれているため、反強磁性との相関を利用して特異な物性を発現させることができる。例えば、酸化ニッケル中の転位は、周辺の反強磁性領域との相互作用により、4 Tを超える極めて大きな保磁力と、250℃を超えるキュリー点を有する。
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絶縁体セラミックスに導電性を付与する方法 ~転位構造配列制御による新材料設計~この研究室では、セラミック結晶にナノ量子細線の束を導入することにより、絶縁体セラミックスに導電性を付与する技術を開発している。実験では、代表的な絶縁セラミックスであるサファイアを用い、これを高温、高圧下で処理することにより規則正しい結晶の皺を作り、その中に金属を浸透(拡散)させることにより、直径数nmの金属細線(ナノ量子細線)を1cm2あたり10億本という極めて高い密度で形成することに成功した。
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高分解能走査透過電子顕微鏡法による原子・電子構造解析この研究室では、最先端の高分解能分析電子顕微鏡法、収差補正走査透過電子顕微鏡法や ナノプローブ分析電子顕微鏡法などを駆使して、構造および機能セラミックスをはじめとする各種先端材料に関する原子および電子レベルでの構造解析技術を確立している。また、これらの構造解析データと粒界・界面での原子配列についての理論計算を併用することによって、新しい材料機能創出のための設計指針を得ている。