香りの持つ機能の有効利用の実現へ ~嗅覚の仕組みに基づいて香りを設計制御する技術開発 と 香りが及ぼす影響を評価する技術開発~
カテゴリー
- バイオテクノロジー
SDGs
研究内容
香りは、人の心理・生理・情動・行動に作用し、食事を始めとして私たちの暮らしのさまざまな場面で生活の質を左右しています。また、快適さや安心感、わくわく感など、幼少者から高齢者まで多くの方々の心の豊かさを高める可能性を秘めています。
しかしながら、香りが脳や身体に及ぼす影響についてはまだわからないことが多く、香りの持つ機能を十分に活用できていないのが現状です。具体的には、人が光を感知する受容体が4種類であるのに対し、香りを感じる嗅覚受容体は396種類と非常に多く複雑で、加えて、数十万種とも言われる香り物質による嗅覚受容体の反応も、遺伝子多型の影響により大きな個人差があります。また、香りは経験や文化、体調などの影響を受けて感じ方や嗜好も変わります。このような嗅覚の複雑さのため、言葉に表せない香りの概念を客観評価できないことが香りの産業利用のボトルネックとなっているのです。
そこで、当研究室で進める、JST未来社会創造事業『香りの機能拡張によるヒューメインな社会の実現』課題では、①嗅覚受容体の情報を基に、香りを制御・設計する技術開発、②脳・生理計測に基づく香りの客観評価技術の開発、③体臭や生活空間の香り成分解析および活用検証を行い、それらと大規模調査による遺伝子多型情報や心理データを収集・統合することで、香りの知られざる新たな機能・効能を引き出すサービスの創出を目指しています(図1)。食や生活空間を含めさまざまな分野への応用を目的として、人の香りの感じ方を予測し自在に香りをデザインする研究開発を進めています。
本プロジェクトでは、「香り」を活用したサービスが社会に浸透することを目指して、成果の共有、活用方法の模索のため、『香り4.0研究会』を立ち上げ、活動を行っています。研究会は、業種・分野を越えて、香りの活用に関心を持つ方々が集う場ですので、ご興味ある方はぜひお問い合わせください。
図1 プロジェクト概要図
© 東原和成研究室
想定される応用
・食品業界のフレーバー設計、食品開発
・消費者(個々/ターゲット層/全体) に適した日用消費財の開発
・ヒトの情緒に効果のある香料・生活用品の開発や活用
・悪臭や生活空間、都市空間の匂い対策
・医療業界における健康管理やストレス緩和 など
関連情報
公開日 / 更新日
- 2021年12月24日
識別番号
- No. 00081-01