動物が記録する科学:バイオロギングサイエンス
佐藤 克文大気海洋研究所 海洋生命システム研究系海洋生命科学部門
海洋や空中といった三次元空間を自由に動き回る野生動物は、直接観察が難しいために、その行動や生活史、あるいは周辺環境について多くの謎が残されている。小型の記録装置を動物に搭載し、動物自身にデータをとってこさせるバイオロギング手法によって、想定していない意外な発見も含め、数多くの発見がもたらされた。 1.深度・速度・加速度・地磁気・緯度経度・温度・高度といったパラメータの時系列記録により、動物の水中や空中の3次元行動を秒単位で把握できるようになり、個々の生態解明のみならず、種間比較研究が可能となった。 2.静止画や動画を記録できる動物搭載型小型カメラの開発により、動物目線で周辺環境や他個体との相互作用を研究できるようになった。 3.塩分記録計や採血装置の開発により、動物の生理行動情報を生息環境下で測定できるようになった。