微弱なノイズ電流により身体のバランスを改善する治療法
山岨 達也大学院医学系研究科 外科学専攻
内耳に存在する前庭器官は、身体のバランスを保つのに重要な役割を果たしており、前庭の働きが悪くなると身体のバランスが悪くなる。高齢者の前庭障害は、従来の治療では改善しないことが多く、これまで有効な治療法がなかった。 この研究室では、耳の後ろに装着した電極より微弱なノイズ電流を加える「経皮的ノイズ前庭電気刺激(nGVS)」により、健常者と両側前庭障害を有する患者において、身体のバランスが著明に改善することを明らかにした。また、nGVSを30分間加えれば、刺激を停止した後も数時間にわたり身体のバランスが安定化するという現象を捉えた。これは常に電流の刺激をしなくても身体のバランスが持続的に改善することを示し、治療への応用が有効であると考えられる。