ヒト腱の代謝的因子の変化に基づいた腱障害に対する治療法の確立
久保 啓太郎大学院総合文化研究科 広域科学専攻
この研究室では、ヒト生体における腱の代謝的因子(血液循環やコラーゲン代謝など)の測定法の確立、およびスポーツ現場や医療現場等への応用を目指した研究を展開している。これまでヒト腱の血液循環やコラーゲン代謝は、水素クリアランス法やMicrodialysis法などで測定されてきたが(e.g., Langberg et al. 1999 J Physiol)、それらは侵襲的であったり、被ばくを伴うなどの問題点があり、スポーツ科学や健康科学の分野で応用するには困難であった。最近、赤色分光法を用いることで、ヒト生体の腱の血液循環が非侵襲的にとらえられるようになった(e.g., Kubo et al. 2008 Acta Physiol)。さらに、骨粗鬆症などの骨のコラーゲン代謝マーカとして用いられてきた幾つかの血中マーカの動態を総合的に検討することで、ヒト生体の腱のコラーゲン代謝を推定することにも成功した(Kubo et al. 2012 Res Quart; Kubo et al. 2012 Eur J Appl Physiol)。