材料中に含まれる水分子のダイナミクス測定による材料特性・劣化の予測
白樫 了生産技術研究所 機械・生体系部門
生体、インク、建材、土、コンクリート等の高分子水溶液やゲル、無機多孔質材料のうちには水が含まれおり、様々な状態で材料を構成する分子と干渉することで、材料の性質やその経年変化に影響を与えている。この様な材料と干渉する水を総称して結合水と呼び、その分量と分子運動の程度を知ることは、水を媒介した種々の化学反応、相変化の速度や力学的性質を知る上で重要である。非常に広い帯域の水分子の回転運動の速度とその量を測定する方法として、とりわけ誘電分光は、水がもつ大きな双極子モーメントの緩和時間として直接測定できる点で他の分光法にない特徴をもつ。 この研究室では、 1)極微量の材料を広帯域誘電分光することにより、材料中に含まれる種々の緩和時間をもつ水分子の緩和時間分布を測定 2)材料表面(例えば皮膚など)から1mm程度の深さまでの自由水の水分分布を測定する技術を有している。