写真等の画像情報の視覚的な暗号化 山口 泰大学院総合文化研究科 広域科学専攻 従来よく知られている2値情報の暗号化ではなく、写真などを対象とした画像情報の視覚的な暗号処理を開発済みである。例えば、2枚のOHPシート画像を重ねると全く異なった画像を浮き出させることなどが可能である。(「少女」の画像と「花」の画像を重ねて「猫」の画像を得る等。)
高分解能走査透過電子顕微鏡法による原子・電子構造解析 幾原 雄一大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻 この研究室では、最先端の高分解能分析電子顕微鏡法、収差補正走査透過電子顕微鏡法や ナノプローブ分析電子顕微鏡法などを駆使して、構造および機能セラミックスをはじめとする各種先端材料に関する原子および電子レベルでの構造解析技術を確立している。また、これらの構造解析データと粒界・界面での原子配列についての理論計算を併用することによって、新しい材料機能創出のための設計指針を得ている。
単分散粒子合成:プラズマ援用インクジェットプロセス 伊藤 剛仁大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻 「J. Phys. D: Appl. Phys. 54, 33LT01 (2021)」にて実現した、プラズマ援用インクジェット合成法による、単分散粒子合成プロセスの量産化技術に関心のある企業との連携を期待する。サブミクロン~数ミクロンオーダーにおける高いサイズ制御性とともに、多彩な単分散粒子合成が可能な合成法である。
ナイキスト基準を超える高速信号伝送のための信号処理技術 杉浦 慎哉生産技術研究所 情報・エレクトロニクス系部門 ワイヤレス通信の分野では重要なリソースである周波数帯域は逼迫しており、通信の高速化・大容量化がますます困難となっている。本研究室では、様々なワイヤレス通信ネットワークについての研究を進めている。 例えば、「ナイキスト第一基準で表されるシンボルインターバルの限界を超える高速信号伝送技術」について研究をしている。この技術は、これまでのナイキスト基準に従う通信方法と異なり、送信シンボル間の干渉を許容することにより、周波数帯域を大幅に増加させることなく、シンボルレートを向上させることができる。また、高度な行列演算や周数領域信号技術などの信号処理を送受信機に適用することで、上記の性能向上を現実的なシステム環境において実現することを特徴とする。
三次元物体の任意の位置で切断したときその断面構造を提示するモデリング技術の応用 五十嵐 健夫大学院情報理工学系研究科 創造情報学専攻 この研究室では、コンピュータ科学におけるユーザーインターフェースやコンピュータグラフィックスの研究を行っている。三次元物体を表面のみではなく、任意の位置で切断したときの切断面をリアルタイムで表示するために、二次元構造合成技術を用いて妥当な断面イメージを合成する方法を開発した。その結果、完全な三次元の構造データを予め用意した場合に不可避となる、複雑なデザインインターフェースと膨大なデータ量を避けることが可能となった。
高精度風況予測に基づく風力発電出力予測システムの開発 石原 孟大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 この研究室では、日本のあらゆる地点での風速・風向を高精度に予測できる3次元風況予測モデルを開発・実用化した。天気予報技術と局所風況予測技術を融合した新しい予測手法を開発した結果、分解能10m、予測誤差数%で予測可能となり、従来手法に比べ分解能は数百分の1、誤差は1/3以下の高精度な予測が可能となった。この成果は、社会基盤構造物の耐風安全性の評価や近年急速に拡大する風力エネルギーの効率的利用など幅広く応用できる。その一つの応用として、大規模なウィンドファームを対象にリアルタイムで風力発電出力を予測するシステムの開発を行った。風の変動によって出力が大きく変動する風力発電は、電力系統との連系が増加すると、周波数変動など系統全体の安定性に影響を与える恐れがある。高品質な電力の供給を維持し、更なる風力発電を導入するには、まず風力発電出力の変動の予測が重要であり、そのための予測システムの開発を行った。
新しい宇宙システム創成のための手作り超小型衛星の開発とその応用 中須賀 真一大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 この研究室では、超小型衛星バス及び画像取得システムの技術を開発し、2003年には世界最小の衛星CubeSatを軌道上に打ち上げ、それ以降、地球観測(6m分解能など)、通信(地上からの弱電波受信)、宇宙科学探査、海外の教育支援衛星など合計13機の超小型衛星の打ち上げ運用に成功し、軌道上でその性能と寿命を実証してきた。ベンチャーの起業、数社のベンチャーとの連携を通して、超小型衛星の資金調達、研究開発、ミッション達成、利用開拓などを行うエコシステムを構築しつつある。あわせて、今後の超小型衛星において重要なコンポーネントを、中小企業をはじめとする民間企業等との連携で開発している。また、衛星の自律化・知能化や衛星開発の迅速化・低コスト化を目指した人工知能の適用やシステムズエンジニアリングの研究も行っている。
温間・熱間温度域での高張力鋼板・高強度薄板のプレス成形・ダイクエンチ成形技術 柳本 潤大学院工学系研究科 機械工学専攻 主に自動車に用いられる高張力鋼板・高強度薄板は、構造物の軽量・高強度化に大変効果的である反面、プレス成形時のスプリングバック(除荷前後の曲げ角度変化)が非常に大きい事が問題となっている。対処法の一つとして、熱間プレス成形によるスプリングバック低減や、型内での焼き入れ(ダイクエンチ成形)が挙げられる。 この研究室では、温間・熱間プレス加工中の曲げ部温度とスプリングバックとの関係、温度履歴や冷却速度と成形後焼き入れ組織や強度との関係を、高精度に解析する技術を開発した。更に、温間・熱間温度域における張力鋼板・高強度薄板のプレス成形・ダイクエンチ成形の課題解決に向けた多くのデータを蓄積している。さらに超軽量構造を実現するための、0.3㎜以下の極薄板厚ステンレス板の温間成形を行った実績もある。
医用・バイオレオロジー技術の提供 酒井 啓司生産技術研究所 基礎系部門 この研究室では完全非接触で粘弾性測定が可能なEMS(Electro Magnetically Spinning)粘度測定システムを開発した。密閉環境に置かれた試料の粘弾性を、外部からの遠隔操作で計測することが可能であり、この特徴を活かした医療・バイオ系をはじめ粘性計測を行っているすべての分野への応用展開を目指している。
脳機能障害に由来する歩行障害等の予防及び治療 柳原 大大学院総合文化研究科 広域科学専攻 この研究室では、身体運動及び情動の制御、学習・記憶、予測における脳の働きについて、分子・遺伝子レベルから個体(マウス、ラットおよびヒト)における行動レベルまで幅広く関連性を持って研究している。研究方法としては、ニューロン活動などの電気生理学、高速度カメラを用いた運動学的解析、免疫組織化学、遺伝子発現解析、神経筋骨格モデルによる動力学シミュレーションが中心である。