ブロックチェーンとその応用
松浦 幹太生産技術研究所 情報・エレクトロニクス系部門
ブロックチェーンは、追記更新と随時検証が可能な形で、取引記録や処理記録などを分散共有管理する自律分散システムである。2009年に登場した仮想通貨ビットコインで使われて以来、フィンテックだけでなく、小口電力売買管理、食料サプライチェーン管理、医療情報システム管理などの応用に期待が集まり、活用事例も増えている。松浦研は、ビットコインの登場以前から、ブロックチェーンを支える主要技術や経済工学的理論の多くに関する先駆的な研究成果を挙げている(仮想通貨の採掘に使う作業証明技術は1998年、デジタルタイムスタンプ技術は1999年、仮想通貨のトークンモデルとその金融派生商品は2001年、記録の証拠性を支える電子公表技術は2003年)。また、本格的な科学的評価を経ずに実用化が過熱している問題を克服するため、国際的な研究ネットワークの初期ノードの一つを2016年から運用し、産学連携活動であるBASEアライアンスを2017年に立ち上げるなど、ブロックチェーンを基盤技術として育てる環境を整えている。