ビーズミル粉砕と再結晶化プロセスを組み合わせたゼオライトナノ粒子の新規調製法
脇原 徹大学院工学系研究科 附属総合研究機構プロジェクト部門
この研究室では、環境、エネルギー分野で中心的な役割が期待されているナノ空間材料を主な研究対象として、これまでにない新規ナノ空間材料の創出やそのための合理的なプロセスの開発を目指している。 研究対象の1つであるゼオライトは、結晶性・多孔性アルミノシリケートの総称で、1nm以下の細孔を含有し、イオン交換特性、吸着特性、固体酸性質(酸触媒特性)をもつため、工業的に広く利用されている。ナノサイズ化させるとこれらの様々な特性が向上することが知られているが、ナノサイズ化の最も一般的な手段である水熱法には、希薄溶液中で結晶化させるため生産性が低い、また結晶化制御のために使用する有機構造規定剤が高価、といった問題がある。 本研究では、ゼオライトをビーズミルにより粉砕し、粉砕によって生じた非晶質層を再結晶化させることで結晶性の高いナノゼオライトの作製に成功した。この製法により、以下のような効果があった。 ・有機構造規定剤を使用せずにナノサイズ化が可能 ・収率はほぼ100%を達成(安価な原料がすべてナノサイズ化) ・粉砕の度合いで粒度分布を自在に制御可能 (30nm~) ・工業的に利用されているすべてのゼオライトのナノ化に成功