酒井 啓司教授
生産技術研究所 基礎系部門
SDGs
連携提案
本研究室では、自発的な揺らぎによって生じるリプロンやフォノンの波動観察、光場・電場ピンセットを用いた表界面の応答解析、微小液滴マニピュレーション法による流体挙動観察などの実験的手法により、コロイド溶液・液晶・ゲルのような柔らかい物質の物性計測および複雑流体系が示す特異なダイナミクスの分析に取り組んでいる。また、上記実験技術の高感度化や特殊環境下での測定に向けた改良を進めると同時に、電磁スピニング法を用いた新型粘度計などの開発にも着手し、産業分野・医療分野との連携研究を積極的に行っている。共同技術開発や成果の応用に関心のある企業との連携を希望する。
事業化プロポーザル
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超高速液滴ミクロ物性の展開当研究室ではJSTの支援を受け、μ秒の分解能で時々刻々と変化する液体の表面張力や粘性を計測するシステムを開発した。このシステムでは液滴を空中に射出し、独自の特許技術でこれを非接触で変形させ、その後の形状変化からこれら液滴の力学物性を高い精度で計測する。またピコリットル液滴が固体基板上で濡れ広がり、あるいは紙などに浸透してゆく様子をマイクロ秒の分解能で動画撮影する技術などを有している。
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特殊環境における粘性測定と粘性標準構築への取り組み当研究室では超精密な粘性測定手法の開発を行っている。世界の計量が量子標準に統一されようとしている現在においてもまだ粘性の標準は「水と毛細管」である。我々は独自の粘性測定手法である磁気浮上型EMS(Electro-Magnetically Spinning)法により、純水の1/100,000の低粘性を測定することに成功している。
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マイクロ液滴の高速射出・合成によるハイブリッド液体デバイス作製技術の提供この研究室で取り組んでいるテーマの一つにナノテクノロジーがある。液状材料のミクロな物性や挙動に関する知見を活かして、この研究室では市販のインクジェット技術を超える独自の超高速ピコリットル液滴射出(毎秒20万発以上)、あるいは簡便なフェムトリットル液滴形成技術を駆使して、微小液体の積層・融合によるハイブリッドな柔構造デバイスの作製を目指している。
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極微細・超高速の流動現象を解析する極限レオロジー技術の提供ナノテクノロジーは最も注目されている技術の一つであるが、この研究室ではμm薄膜の塗布・硬化・構造形成過程を粘弾性変化の観点からモニタリングする電界ピンセットシステムや、10^6s^-1を超える超高歪領域の流動特性を解析するハイパーレオロジー観察システムなど、極限の流体物理を研究する技術の開発を行っている。
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医用・バイオレオロジー技術の提供この研究室では完全非接触で粘弾性測定が可能なEMS(Electro Magnetically Spinning)粘度測定システムを開発した。密閉環境に置かれた試料の粘弾性を、外部からの遠隔操作で計測することが可能であり、この特徴を活かした医療・バイオ系をはじめ粘性計測を行っているすべての分野への応用展開を目指している。