超臨界水酸化反応を用いたオンサイト型有害廃液・廃棄物処理システム
秋月 信大学院新領域創成科学研究科 環境システム学専攻
超臨界状態の水中では、有害物質の酸化分解反応が極めて高速に進行する。超臨界水酸化と呼ばれるこの反応は、新しい有害な化学物質の処理法として期待されており、その利用によって、各種有害廃液や有害廃棄物を排出された原点(オンサイト)で処理するためのコンパクトな処理装置の構築が可能となる。 この研究室では、有害廃液の処理について二酸化マンガン等の固体触媒を併用すると、有害物質の分解がさらに高効率かつ完全に進行することを見出している。企業の共同研究を通じて、実験室から排出される有機系廃液のオンサイト処理装置を開発している。 一方、医療廃棄物をはじめとする有害廃棄物は、その処理を厳重に行う必要性が高まってきている。現在主に行われている廃棄物の集約後に焼却する処理は、有害廃棄物の移動に伴う環境漏洩、不適切処理等のリスクを抱えており、その解決には排出された場所(オンサイト)で処理するシステムの活用が有効である。 この研究室では、超臨界水酸化反応を利用することで、感染性物質の付着が懸念される注射器などの医療系廃棄物を使用後そのままの状態で完全酸化分解し、原形を残さずにオンサイト処理を行う処理システムの開発を行っている。この”魔法のゴミ箱”とも呼べる処理システムは、超臨界状態の水中では有機物質の酸化分解反応が400~500℃程度の比較的低温で、またコンパクトな装置で行えるために可能となるものである。 この技術は医療系廃棄物だけでなく、管理や移動にリスクを伴う様々な有害廃棄物に適用可能と考えており、近年ではふぐ含毒部位の処理に利用可能であることを報告している。