糸状菌由来ポリケタイド合成酵素のドメインスワッピングによる物質生産
阿部 郁朗大学院薬学系研究科 薬科学専攻
糸状菌由来ポリケタイドは、構造多様性を有し、高脂血症治療薬であるlovastatin、免疫抑制剤であるcyclosporin等の医学的に重要な化合物群を含む。ほとんどの糸状菌ポリケタイドは、触媒ドメインが一本のポリペプチド鎖に連なって存在するモジュール型の酵素によって合成される。触媒ドメインには、ポリケタイドの伸長回数を制御するketosynthase (KS)、環化様式を制御するproduct template(PT)ドメインが含まれる。近年、糸状菌由来PKSの反応の解析例が増加したこと、ドメイン間のリンカー部位のアミノ酸の予想プログラムの発達により、ドメインスワッピングが可能となりつつある。本研究では、縮合回数の異なるKSドメインと環化様式の異なるPTを組み合わせたキメラ酵素を糸状菌、酵母にて発現することにで、新規な糸状菌ポリケタイドの生成を試みる。