ナノメカニカル構造機能化とそのセンサ応用
米谷 玲皇大学院新領域創成科学研究科 人間環境学専攻
ナノメカニカル振動子は、振動を介し様々な微小物理量(変位,機械的・電磁気的力,温度,電荷,スピン等)を検出できることから、NEMS(Nanoelectromechanical systems)センサのキーコンポーネントとして期待されている素子である。当研究室では、ナノメカニカル構造のセンサへの応用を進めるとともに、その研究開発の鍵となるナノ構造作製技術,振動計測技術,ナノメカニカル構造体の特性解明,機能化に関する研究を行っている。 ナノメカニカル振動子の高性能化,センサ応用を行った例を紹介する。図1は、歪印可によりグラフェン振動子を高Q値化した例である。振動子に引張応力を印可することで、共振周波数の高周波数化に加え、センサ感度に関係するQ値を大幅に改善(現時点で24倍の高Q値化を達成)することができる。その他、形状や表面状態,材質を工夫することで、振動子の高性能化,高感度化に取り組んでいる。また、センサ応用の一例として、図2に波長計測素子を示す。光通信技術,分光技術などの材料評価技術への応用を狙った素子である。このように、ナノメカニカル構造を活用したセンサ素子,或いはその高性能化に関する研究を進めている。