CRISPR/Cas9システムに用いるsgRNAの配列設計
程 久美子大学院理学系研究科 生物科学専攻
近年、CRISPR/Cas9システムによるゲノム編集法が幅広く利用されている。本手法は標的とするゲノムDNAと20塩基の塩基配列の相補性をもつsgRNAがCas9タンパク質と複合体を構成し、塩基配列の相補性により対合してゲノムDNAの編集を行う手法である(図参照)。本手法は、基本的にどのような生物種でも利用できるため、これまで遺伝子改変が困難とされた生物種や細胞系でも利用可能な新規の有用な手法として注目されている。 この研究室では、バイオインフォマテイックスを用いて、ゲノム全体の中で特定の遺伝子のみを標的とできる塩基配列がどの程度あるのかを様々な生物種で解析し、その結果、ゲノムサイズの大きいヒトやマウスなどでは標的以外の領域に変異を挿入するオフターゲット効果が強く見られる可能性を明確にしている。そのため、ヒトやマウスではゲノム全体の中で特異的な配列を選択してsgRNAとして利用することが必要であり、そのような手法を構築している。このようなsgRNA設計法に関する最新の方法については、ウェブサイト(https://crispr.dbcls.jp/)で公開しているのでご利用いただきたい。