次世代光量子センサーの開発
山下 了素粒子物理国際研究センター
素粒子・原子核・物質・生命科学研究、宇宙観測、医学、放射光等での様々な産業利用において、微小な光を精度良く計測するセンサーは最も重要な基盤のひとつである。また、医療現場・産業においても精密計測の基盤技術となっている。この研究室では次世代の光センサーとして注目を集めるPPD(pixelated photon detector)の開発を進めている。シリコン半導体にガイガーモードで動作する多数の微小ピクセルを造り何個のピクセルが光量子によりヒットしたかを出力することで光量子の数を「デジタル的に数える」という新しい概念での検出器で、これまで10年程度の世界的な研究ですでにSiPMやMPPCという名称で実用に供され始めている。この研究室では更に、このセンサーの動的(時間変化まで追った)精密数値シミュレーションを用いて設計を最適化すること、および最大の課題である熱電子・ホール起源のノイズの抑制を図ること、そして増幅率を向上させるための積層型素子を実現すること等を、研究の主項目としている。