五十嵐 健夫教授
大学院情報理工学系研究科 創造情報学専攻
SDGs
連携提案
この研究室では、計算機を使いやすくするためのユーザインタフェース、および形状モデリングを中心としたコンピュータグラフィクスの研究を行っている。
特に、初心者でも簡単に取り扱うことのできる3次元グラフィクスシステムや、3次元プリンタやレーザーカッターなどを活用したデジタルファブリケーション、画像や3次元形状などを対象とした機械学習システムに関するヒューマンインタフェースなどに関する研究を行っており、研究成果の実用化などに関心のある企業との連携を希望する。
事業化プロポーザル
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多様な体形や姿勢に対応した高品質な仮想試着手法の開発 ~オンラインショッピングでの試着やビデオ会議での仮想着替えをリアルタイムで実現~オンラインショッピングが加速度的に普及し、オンライン上で仮想的に試着ができるシステムの需要が高まる中、本研究室では、リアルタイムで高品質な仮想試着を実現する手法を開発した。 従来の仮想的な試着の実現手法では、多種の衣服に対して一つの深層学習モデルを構築していたが、本手法では特定の衣服の画像の生成に対象を絞って深層学習モデルを構築することで、様々な体形や姿勢に対応した試着画像を生成することを可能にした。また深層学習モデルの構築に必要な大量の訓練データを自動的に取得するために、体形や姿勢を自動制御できる訓練データ撮影専用のロボットマネキンを開発した。 この手法を用いることで、顧客が計測用の衣服を着てカメラの前に立つと、商品の衣服を着た画像がリアルタイムで生成でき、試着室で鏡を見ているような感覚で仮想的な試着をすることが可能である。 なお、本手法の詳細については、関連情報に掲載のプレスリリース(PDF)をご覧いただきたい。
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計算機と切削加工機による木工継手・仕口の設計・製作のためのインタラクティブシステム釘を使わずに木材を接合する「継手・仕口」は日本の伝統的な工法であり、建築物や家具の製作に使用されている。伝統的な継手・仕口は美的外観、高品質、および加工性などの点において高く評価されているが、美的要件と機能的要件を満たす必要があるため、設計が非常に困難で、手作業の制作は熟練者にとっても手間がかかる。 この解決策として、本研究室では「継手・仕口」を設計・製作するためのインタラクティブシステムを新たに開発した。本システムは、計算機と切削加工機を用い、カスタムメイドの木工接合部のデザインと製作を容易にするものである。 まずユーザは接合部の加工性、組み立て可能性、強度など性能に関するリアルタイムフィードバックを受け取りながら、接合部を設計する。そして角を丸めるなどの処理をして、計算機制御の切削加工機により接合部を完成させる。このシステムにより、基本的なデジタル製造ツールにアクセスできる人なら誰でも、継手や仕口に関する専門的な知識がなくても、洗練された木製の接合部を作成することが可能となる。 なお、本システムの詳細については、関連情報に掲載のプレスリリース(PDF)をご覧いただきたい。
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一般ユーザが簡単に3次元CGやアニメーションを作成し、道具やロボットの行動をデザインできる技術この研究室では高度なビジュアルコミュニケーションや自己表現を手軽に行えるソフトウェア技術基盤を築き、経験がなくても一般ユーザが創造力を遺憾なく発揮できるユーザーインターフェースやコンピュータグラフィックスを提供する「デザインインターフェース」の研究をおこなっている。 映像表現のための技術では3次元形状やアニメーションなどを手軽に作成でき、社会生活のさまざまな場面で視覚的情報を伝えることができる。たとえば、ディスプレイ上で建築家がクライアントに建築物について容易に説明したり、生物の授業で生体の内部構造について教えたり、医者が患者に患部の状態について説明したりすることができる。 生活デザインのための技術では椅子などを3次元的な形状としてデザインすることができる。座った時の座り心地やバランスを事前に確認でき、出力された設計図で実際に作ることができる。 ロボット行動のデザイン技術では視覚的で直接的な方法で行動を規定できるため、一般のユーザが必要に応じ「痒いところに手が届く」作業をしてもらうための指示を簡単に出すことができる。
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手書きによる電子カルテのインタフェースに関する研究この研究室ではコンピュータを使いやすくするためのユーザインタフェースの研究を行なっている。特に電子カルテの手書きによる新しいインタフェースを開発している。 患者と対面してコミュニケーションをとりながら行う、あるいは迅速性を必要とするような医療現場でのカルテ記載システムとして、迅速な入力と入力者の医療判断を支援することを目的としたペン入力に最適化されたインタフェースの開発を進めている。 このシステムでは、手書きの診療録記載を行うメイン画面と、外部から入力されたデータを時系列で表示する(熱型表)サブ画面の、2つのディスプレイを利用する。手書きカルテ部分は、縦に長い巻物のイメージとして提示され、ユーザは自由に手書きの文字や図を描くことができる。画面は3分割されており、中央の縮小図で過去の記載を参照しながら新しい記載を行うことなどが可能である。プロブレムやオーダーについては、手書きの記載では不十分なため、全画面に表示されたリストから選択する方式を提案している。その他、記載内容を選択して消去・拡大・縮小する機能、過去のカルテの一覧表示機能、手書き文字認識を利用した計算機や3次元シェーマ描画機能などを実装している。
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3次元キャラクタに衣服を着せるためのインタフェースこの研究室ではコンピュータを使いやすくするためのユーザインタフェースの研究を行なっている。特に、3 次元CG キャラクタに衣服を着せるためのインタフェースを提案している。 第一の手法は2 次元の衣服パターンを3 次元キャラクタの上に着せるもので、キャラクタの表面と衣服の上に手書きの線を描くと、システムの方で対応する線同士が重なるように衣服をキャラクタの上に配置する。第二の手法は、着せた後の服の位置を調整するもので、服をつまんでキャラクタの表面上を移動することができる。通常の頂点のドラッグ操作とは異なり、マウスによる移動分をキャラクタの表面に沿って衣服全体に明示的に伝播することで、より大きな動きを実現することができる。
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空間的キーフレーム法によるキャラクターアニメーションこの研究室ではコンピュータを使いやすくするためのユーザインタフェースの研究を行なっている。特に初心者でも直感的に利用できるように、ユーザによる操作をそのまま実時間で記録してアニメーションを生成する手法を提案している。 特に、マウスのような通常の入力デバイスを用いて、多数の関節を持つ3Dキャラクタに対して複雑な動きを与えることのできる空間的キーフレーム法を開発している。
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物体の堅さを表現した2次元形状の操作方法この研究室ではコンピュータを使いやすくするためのユーザインタフェースの研究を行なっている。特に2次元形状をつかんで自由に回転・移動したり変形したりすることのできる手法を提案している。 骨組み等をあらかじめ仕込むことなくこのような操作を実現するための手法としては空間を歪ませる方法が通常用いられるが、物体の形状を考慮していないため実世界の物体をつかんで動かしているような効果を得ることが困難である。また、バネモデルや物理シミュレーションによる方法もあるが、計算に時間がかかるという問題がある。提案手法は、ユーザが掴んで動かしている点を制約として、それらの制約を満たしつつ、図形の局所的なゆがみが最小になるように形状を瞬時に決定するというものである。
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ぬいぐるみ作成のためのインタラクティブな型紙デザインこの研究室ではコンピュータを使いやすくするためのユーザインタフェースの研究を行なっている。特に手書きスケッチを利用したモデリング操作によって、ぬいぐるみの形状を対話的にデザインしていくシステムを提案している。 ユーザからの入力ストロークと物理的制約を元に常にぬいぐるみになるような3次元モデルをモデリングしていく。対応する型紙はユーザがモデリングするたびにインタラクティブに更新される。このようにオリジナルなぬいぐるみ作成に必要な型紙生成の工程をコンピュータで支援することによって、素人にも手軽にオリジナルなぬいぐるみをデザインすることが可能となる。 本システムはシミュレーションとモデリングを同時に行うことにより、物理的に実現可能である3次元モデルを作成している。また現実的な制約をデザインプロセスに組み込むことで効率的なモデリングを実現している。
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アイコンの空間的なまとまりを利用した情報管理システムこの研究室ではコンピュータを使いやすくするためのユーザインタフェースの研究を行なっている。特にアイコンに関して空間的なまとまりを自動的にグループ化することでフォルダ構造より軽いグループ構造を実現している。空間的に重なっているアイコンは広げて表示することで重なりを解消したり、グループ操作とアイコン操作(ドラッグアンドドロップ)との明示的な区別を行うことで、使いやすさを向上させている。
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電子ホワイトボードシステムの実用化研究ホワイトボードはオフィスにおいて最も重要な役割を果たしている道具の一つである。メモを書き付けたり、スケッチを描いて考えを整理したり、文章を練る際に要点を書き留めたり、同僚との議論の際に使用したりと様々な目的に使用される。デスクトップコンピュータが分析や清書といったアウトプットに近い作業に使われるのに対し、一般的にホワイトボードはより思考に近いレベルでの創造的な活動に使用されていると考えることができる。この研究室では、このような観察に基づき、計算機によって機能を強化した電子的なホワイトボード(電子白板、通称Flatland)の研究開発を行っている。この電子白板は「手書きの線を書き付けるだけ」という本来のホワイトボードの簡便さを失うことなく、情報の保存や計算・図の整形といった計算機によって可能となる拡張能力を付加したものである。
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平面に手書きした絵から動物などの立体的なモデルを自動的に生成するソフトの応用~手書きスケッチから曲面で構成される三次元モデルを自動的に生成する手法の応用~この研究室では、コンピュータ科学におけるユーザーインターフェースやコンピュータグラフィックスの研究を行っている。平面であるコンピューター画面などにマウスなどを用いて描いた手書きの曲線から、曲面が主体となる立体的なモデルを自動的に即座に作成するソフトを開発した。
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コンピューターのスクロールを効率化する技術の応用~移動速度に応じて自動的に拡大縮小倍率を変化させる手法の応用~この研究室では、コンピュータ科学におけるユーザーインターフェースやコンピュータグラフィックスの研究を行っている。コンピューターを用いて作業する場合、しばしば画面をスクロールする必要が生じ、適切な画面を表示させることに手間取ることもまれではなく、作業効率の低下の原因となっている。ここでは、マウスで画面をつかみ、急に動かした場合は自動的にズームアウトして大きく移動し、移動速度を落とすと比例してズームインすることにより細かな移動が容易となるように、速度と縮尺を関連づける手法を開発した。
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三次元物体の任意の位置で切断したときその断面構造を提示するモデリング技術の応用この研究室では、コンピュータ科学におけるユーザーインターフェースやコンピュータグラフィックスの研究を行っている。三次元物体を表面のみではなく、任意の位置で切断したときの切断面をリアルタイムで表示するために、二次元構造合成技術を用いて妥当な断面イメージを合成する方法を開発した。その結果、完全な三次元の構造データを予め用意した場合に不可避となる、複雑なデザインインターフェースと膨大なデータ量を避けることが可能となった。